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【Vol.457】冷泉彰彦のプリンストン通信『中間選挙後の米政局』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「岸田政権の辞任ドミノ問題を考える」  確かに1ヶ月で3人は多いと思いますが、問題はその中身です。山際議員の 場合は、志公会麻生派であり連携関係にあるとは言え他派閥の推薦で大臣にし たわけで、まあ除外して考えましょう。また、宗教団体絡みの問題では真っ黒 ということもあるわけです。  問題は、葉梨、寺田の2議員の場合です。この2名は宏池会岸田派の世襲議 員です。寺田議員は池田行彦の親族で、要するに池田勇人の地盤を継承してい るわけですから、宏池会3代目と言えます。葉梨議員も3世議員で宏池会とし ては2代目になります。  つまり、身内中の身内の政治家ということになります。ですが、葉梨議員に は舌禍があり、寺田議員には明らかな政治資金の問題があったわけです。と言 いますか、大臣候補としてそんなに評判が良かったわけでもないと考えられま す。  にもかかわらず、この2名を大臣にしたというのは、総理が自派閥内での論 功行賞をせざるを得なかったということなのでしょう。良いことではないし、 総理の時派閥内での基盤が絶対的ではないことの証左なのかもしれません。で すが、そこまではよくある話です。  問題は、どうしてこのタイミングで暴露が続いたのかということです。葉梨 議員の舌禍にしても、一回ではないわけで、周囲がまともであればストップが 効いたはずですが、そうはなりませんでした。寺田議員の場合は、金銭がらみ のネタが多く悪質なことから、時間の問題だったとは言え、どうしてこのタイ ミングなのかというのが気になります。  やはり、統一地方選が迫る中で、自民党内が動揺しており、「岸田おろし」 的なモメンタムが動き出しているのかもしれません。仮にそうだとしたら猛省 が必要と思います。メディアや世論としては、江戸時代からの伝統である「お 上と庶民の対立」というエンタメカルチャーに従って、政権を崩壊させるのは 興味深いことなのかもしれません。  ですが、「何も具体的な政策面での失点がない」中で、政権を取り替えると いうのが、2回も続くようでは、国としての基盤はどんどん脆くなってしまう ように思います。どうしても倒閣をやりたいのであれば、党内の対抗勢力であ れ、野党であれ、メディアであれ、政策の相違を掲げてやるべきです。  そうではなくて、「フワッとした民意(かなり古い言葉ですが)」を弄びつ つ、権力を倒すのが正義というような自己陶酔のために政権を取り替えるの は、国益にはならないと思います。

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  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
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