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高野孟のTHE JOURNAL Vol.576 2022.11.28
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1183》
ひとまず鎮静化に向かう「台湾有事」狂想曲/バイデン
も立場を修正する中で日本はハシゴを外される?」
【2】《CONFAB No.543》
閑中忙話(11月20日~26日)
■■INSIDER No.1183 22/11/28 ■■■■■■■■■
ひとまず鎮静化に向かう「台湾有事」狂想曲/バイデン
も立場を修正する中で日本はハシゴを外される?
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米軍部に直結するシンクタンク「ランド研究所」の上
級防衛分析官であるデレク・グロスマンが11月16日付
「Nikkei Asia」に寄稿した中に、ビックリ仰天のパラ
グラフがある。
「11月14日、バリ島でのG20首脳会議に先立って習近
平中国主席と会談したバイデン米大統領は、会談後、
『中国側には、台湾に侵攻しようといういかなる差し迫
った企図(imminent attempt)もないと、私は思う』と
述べた」
●何の根拠もなかった「台湾有事切迫」論
えっ? ちょっと待って下さいよ。21年3月に米上院
の公聴会で米海軍大将が「中国による台湾回収は6年以
内」と証言して以来、米政府高官からは「2027年、いや
実際にはもっと早く23年か24年にも習は暴発するかもし
れない」といった危機感あふれる発言が繰り返され、日
本政府・自民党もそれを情勢認識の基本に据えて、巡航
ミサイル装備だ、敵基地攻撃能力取得だ、南西諸島にシ
ェルター建設だなどと、狂ったように騒ぎ立ててきたの
ではなかったか。
この筆者のグロスマンも呆れていて、バイデンがその
ように「台湾有事」切迫論からあっさり撤退したという
ことは、同政権の危機論には、2027年が中国人民解放軍
の創建100周年だという以外に何の事実に基づく現実的
な根拠もなかったことを示すものだと指摘している。
本誌は、最近で言えばNo.1164(7月18日号)「間違
いだらけの『台湾有事論』」、 No.1176(10月10日号)
「バイデン米大統領の『台湾有事』論は認知バイアスの
表れ」などで、一貫してその虚妄性を主張してきたの
で、今更驚きはしないが、ランド研究所までがこのよう
に冷静な分析に立ち戻り、大統領が正気を取り戻すのを
助けようとしているのは、誠に喜ばしいことで歓迎した
い。
●習近平は昔も今も不変
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