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第54回:ファイブフォース分析で病院、薬局、製薬企業の業界構造を知る

政策人材のための教科書 ~現場の声を政策につなげるために~
  • 2022/11/28
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1)業界の構造を知り、経営戦略を立てる 病院や薬局、製薬企業の今後の戦略を立てるために、医療業界の構造をファイブフォース分析を使って理解します。 ファイブフォース分析とは、ハーバードビジネススクール教授のマイケルポーターが考案したものです。マイケルポーターは、産業構造の分析を行うことで業界の基本特性を発見した上で、企業は競争戦略を策定しなければいけないとしています。(マイケルEポーター、新訂「競争の戦略」P21。次項の「2)5つの競争要因とは」の内容は同書を参考) 今はほとんど見かけなくなったガラケーを例にとると、ガラケーを主力にしていた企業の場合、短期的な円安・円高による部品価格の変動を気にするよりも、むしろスマートフォンの台頭という技術革新にどう対応するか、が企業戦略の上では、クリティカルだったはずです。 医療業界に分類される医療機関や薬局も、短期的な環境の変化に惑わされず、まずは自分たちの置かれている業界の状況を正しく把握した上で、戦略を立てなければいけません。 2)5つの競争要因とは ファイブフォース分析は、(1)買い手の交渉力、(2)業者間の敵対関係、(3)売り手の交渉力、(4)代替製品・サービスの脅威、(5)新規参入の脅威、という5つの要因を分析して業界構造を把握するものです。それぞれの要因は以下のように理解できます。 -買い手の交渉力 普段の買い物の中でも、値切り交渉やまとめ買いをすることで値段を下げてもらう方もいるかもしれません。皆さんが値切れば、当然企業の利益は減りますし、全体売り上げに占めるあなたの購入量が多ければ、売り手もあなたに配慮して売値を下げるでしょう。 離島に行くと、ひとつしか食料品店や薬店がない場合があります。この場合には、その島に住む人はその店でしか食料や薬を買うことができないので、買い手の交渉力は弱まります。そのため、店としては過度な値下げの必要はなくなります。 -業者間の敵対関係 競合との関係が協調ではなく敵対的なものである場合、売り上げ増や顧客獲得のために余分な投資が必要となり、その結果、利益が減少することになります。 例えばスーパーマーケットで売っているものは独自性が弱いので、買い回りをして一番安いところで商品を買う人も多いはずです。近隣のスーパーマーケットと同じ商品を売っていて、他にウリとなるものがない場合、価格を下げたり、新聞広告を出したりして競争に勝とうとしなくてはいけません。 高級スーパーマーケットは、顧客層が違うので少し事情が違うでしょうが、スーパーマーケットは、買い手の交渉力が比較的強い業界といえます。競合との争いが激しいと、値下げや宣伝費の上積みが必要になります。

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