昨年以来、たとえば「食料危機」のことなどを書くことが多いですが、
食料危機というより、「飢餓」あるいは「飢饉」ということに関しては、
実は、21世紀に入ってからずっと、
「漠然と不安に思っていたこと」
ではあったんです。
もちろん20年くらい前など私は何も知識がなかったですが、
「曖昧だけれども、必ずいつか飢饉がやってくる」
という脅迫観念みたいなものがずっとあったんです。
ですので、何か起きる度に、「ちょっとだけ準備をする」
ということを繰り返していました。
リーマンショックだとか、東北の震災もそうでしたし、
まあ、個人の家の押し入れの空きスペースに入れられる備蓄の量など、
たかが知れているのですが、それでも少しだけ「やり続けて」きました。
パンデミックになった時も、ロックダウンでサブライチェーンが崩壊して、
「来たのか?」
とか思いましたけれど、大丈夫でした。
食料サプライチェーンは、2020年中には復活しました。
今度はウクライナの戦争が始まって、
食料供給体制に異常が起き、肥料と燃料の価格高騰と不足が起きました。
しかし、これも現時点では主要国では、
「飢饉」ということとは結びついてはいません。
この肥料の問題については、
さすがに来年「まったく問題がない」ことにはならないでしょうが、
しかし、その影響の程度は今はわかりません。
しかし、最近、「これはアレかなあ」と思うことに気づいたのです。
ブログで寒冷化のことを書き始めたのは10年以上前からですが、
大きな要因として、
・太陽活動
・巨大火山の噴火
のふたつについて書くことが多かったです。
火山については、英ジャーナリストのディヴィッド・キース氏が書いた
『西暦535年の大噴火』という著作を何度かご紹介しています。
https://amzn.to/3Uph2H5
以下は、2013年の記事です。
[記事]21世紀も「太陽が暗くなる時」を経験するのか?
: 全世界が地獄の様相を呈した6世紀と酷似してきている現在に思う
https://bit.ly/3ORp4Y9
この著作からの部分を抜粋しますと、
西暦536年頃から、ほぼ全世界で以下のような状態となったことが、
当時の記録に残されているのです。
(ディヴィッド・キース『西暦 535年の大噴火』より)
> 資料、年輪、考古学資料のすべてが6世紀中期は、
> 異常な悪天候に見舞われた時期だったことを指し示している。
>
> 日光は薄暗くなり、地球に届く太陽熱は減少し、干ばつ、洪水、砂嵐が起こり、
> 季節外れの雪と特大のひょうが降った。
結果として、日本や中国、ヨーロッパを含めた世界各地で、
飢餓、病気の流行等が広く蔓延したことが文書で示されています。
(日本の場合は『日本書紀』に記載があります)
世界的にこのような異常気象が起きた原因は明確ではなかったのですが、
考えられるのは、
・巨大火山の噴火
・小惑星の衝突
・彗星の衝突
などしかないほどの大きな異常気象でした。
536年に、東ローマ帝国の歴史家の書いた文書には以下のようにあります。
「歴史家プロコピオスの西暦 536年の記述より」
> 昼の太陽は暗くなり、そして夜の月も暗くなった。
> 太陽はいつもの光を失い、青っぽくなっている。
>
> われわれは、正午になっても自分の影ができないので驚愕している。
> 太陽の熱は次第に弱まり、
> ふだんなら一時的な日食の時にしか起こらないような現象が、
> ほぼ丸一年続いてしまった。
>
> 月も同様で、たとえ満月でもいつもの輝きはない。
そして、ディヴィッド・キース氏は、この原因として最も考えられるのは、
「西暦 535年に起きたインドネシアのクラカタウ火山の大噴火」
によるものだと、ほぼ断じています。
しかし、さらに最近、この西暦 536年からの「長い大厄災」の原因が、
「海底火山の噴火である可能性が強い」
ことをグリーンランドの氷床分析から突きとめた論文が発表されました。
以下の記事で取りあげています。
[記事] 西暦536年からの十数年間「地球から太陽の光が消え暗黒の世界となった」。
この現象の原因は海底火山の噴火である可能性が高まる
https://bit.ly/3VsmvOz
なお、私自身は、この両方の影響だと思っています。
つまり、
・西暦535年のインドネシアの火山の噴火
・西暦536年の海底火山の噴火
の両方です。
そして、仮に、536年から始まった「太陽光が弱くなった異常気象」が、
今後「起きないとも限らない」という感じが強まっているのです。
火山の噴火によって、その後、「寒冷化が起きた」例としては、
記録の残る中では人類史上世界最大の火山噴火とされてきました、
「1815年のインドネシアのタンボラ火山の噴火」
があります。
https://bit.ly/3B2IKT9
Wikipedia の項目には以下のようにあります。
注意したいのは、タンボラ火山が噴火したのは、
「1815年4月」ということです。
(タンボラ火山 - Wikipedia より)
> 噴煙や火山灰が成層圏に達して火山性エアロゾルにより日射が遮られたため、
> 地球全体の気温が低下し、世界各地に著しい異常気象がもたらされた。
> 世界的に平均気温が約1.7℃も低下し、
> 火山の冬と呼ばれる大規模な寒冷化をもたらした。
>
> …翌1816年、欧米では近代史上最も寒い年となり
> 「夏のない年」と呼ばれるほど世界的な低温が続いた。
> イェール大学に残る記録によれば、
> この年の夏は気温が平年より4℃も低かったという。
> この「夏のない年」は「西洋において最後で最大の危機」とも称された。
>
> 各地で当然のように農作物が大打撃を受け、
> スイスなどヨーロッパでは深刻な飢饉が起きた。
> ハンガリーやイタリアでは赤い雪が降った。
> この大災害の時にコレラが初めて世界的に大流行したともいわれている。
https://bit.ly/3B2IKT9
1815年の噴火の後、「最も強い影響が出たのは翌年の1816年から」
なのでした。
「1年後などから影響が出始めた」と。
それでですね、もしかすると、現在の私たちは、このような、
「人類史上最大の噴火に直面してから、そろそろ1年になるかもしれない」
ところにいるのかもしれないのです。
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