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【痛くない死に方 2022年第48号】最期は島で暮らし、島で死にたい。 長尾オススメ「穏やかに死ねる島」は?

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2022/12/03
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2022年 第 48号 【長尾和宏の「痛くない死に方」】 長尾和宏です。今年もあっというまに、12月に入ってしまいました。急に寒くなり ましたね。僕は寒い季節が大嫌い。寒いというだけで、テンションが落ちてしまいます。 寒いと人は、孤独を感じやすく寡黙になりやすいですね。 昔より、東北地方のほうが自殺者が多いというのは、大きく気温が関係していること でしょう。今週の「死のQ&A」でも書かせていただいていますが、メンタルが不調 だと思ったら、「南へ逃げる」。どんな抗うつ剤よりも、南の空気が魂を癒す。 1泊2日で沖縄へ行くだけで、充分気持ちは前向きになるはずです。 そんな僕の想いを知ってか知らずか知己の出版社はここ数年、僕に毎年、那覇の丸善 ジュンク堂さんで出版イベントを企画してくれています。そこですっかり仲良くなった 丸善ジュンク堂那覇のM店長さんは、もともと関西人。顔はブラマヨの吉田さん似の 二枚目で、目が大きいせいか、とにかく那覇でモテる。関西人と沖縄人のいいとこどり をした面立ちで、毎年会うたびに、どうやら違う彼女が……いや、ここから先は 個人情報なのでやめておきましょう。 そのM店長から、「西宮で秘密のパーティがある。是非参加してほしいんです」とご連絡を いただいた。大人のパーティ? カップルでお越しください、とM店長は言う。 ちょうどその日は明いていたのと、場所がそんなに遠くなかったので、参加することに した。大人の男女がとある一軒家の応接間に5組ほどかな。 どんな妖艶淫らなパーティーが待ち受けているのだろうとドキドキ。64歳の胸は高鳴る。 と、主役は、セックスドラックでもSMショーでもなかった……鎮座していたのは熊の手。 なんとこの御宅は有名中華料理人のおうちで、「熊の手」を食す会であった。 中国ではこれが、最高級のジビエなのだという。 爪までついた熊の手が2本、ふかふかの巨大グローブさながらにドーン皿に乗っていた。 正直、グロイ。これを食べるのか……。  中華料理というのたは確か、脚の生えているものは机と椅子以外全部食べるのだっけ。 あたまのなかのエッチな妄想はいつの間にか消えて、僕の胸は別の意味で鼓動が高鳴る。 せっかくお呼びいただいたのだ。食べないという選択肢はない。 料理されたそれは、飴色の醤油ベースのいい香りのタレに絡まれどうぞ食べてください と言っている。 小皿に盛られて、恐る恐るひと口。柔らかく口の中で解れていく肉の舌触りは、よく 煮込まれた高級ビーフシチューのよう……旨い! そしてスパイスの奥に隠れた、肉 本来のわずかな苦み。そしてぷるぷるとしたゼラチン質。これがクセになる。いつしか 僕は、夢中で食べていた。そこにいる誰もがひと口食べた瞬間に表情が変わった。 ここに重めの赤ワインをひと口。芳醇な味わいが口いっぱいに広がった。 秘密の大人のパーティに相応しく、確かに「官能的」な味覚であった。 性欲はときどき食欲で満たされる。 熊の手は、とにかく下ごしらえが大変なのだとその有名シェフが言う。 まずは一本一本毛を抜いて、毛を抜いた手は柔らかくするために、ニンニクや酒や、 さまざまなスパイスに漬け込んでおくのだという。

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  • 長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 本邦初!100パーセント「死」のことについて語るメルマガ。2000人以上を看取った医師であり、日本尊厳死協会副理事として、日々「死」と向き合う医師と一緒に、死に方について考えませんか? 家族の死と向き合わなければならない人、大切な人が死んで、喪失感から抜け出せない人、今、どうしようもなく「死にたい」人も……あなたのこころに届くメッセージが満載です。
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