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佐々木俊尚の未来地図レポート 2022.12.5 Vol.733
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http://www.pressa.jp/
【今週のコンテンツ】
特集
有料化で成功するための「記事の品質」を新聞が保つのは難しい
〜〜〜これからのマスメディアに求められているのはSNSとの連携だ
未来地図キュレーション
佐々木俊尚からひとこと
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■特集
有料化で成功するための「記事の品質」を新聞が保つのは難しい
〜〜〜これからのマスメディアに求められているのはSNSとの連携だ
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先週号の特集「新聞の影響力は団塊の世代の退場とともに終わるだろう」は大きな反響をいただきました。ありがとうございます。
★新聞の影響力は、「団塊の世代」の退場とともに終わるだろう 佐々木俊尚の未来地図レポート Vol.732|佐々木俊尚|note
https://note.com/sasakitoshinao/n/n7b1d40d26f6c
この特集の補足として、「新聞が有料のウェブメディアとしては生き残れるか?」というポイントがあります。この有料ビジネスの可能性については、ノンフィクション作家の下山進さんが経済系メディア「アクシオン」に答えたインタビューが非常にわかりやすく勉強になります。
★持続可能なメディアになるための三つの条件|下山進|メディアの未来#3
https://www.axion.zone/325832848120/
この中で下山さんは、日経新聞の成功事例に言及しています。
「日経電子版は明快な成功例だ。紙(4900円)と電子版(1000円)のパッケージで5900円。日経電子版の契約者数は83万201人。紙で失われた売上をおおむねカバーしている、と言えるようだ」
いっぽうで朝日新聞について。
「ところが、朝日の場合は、紙がどんどん下がってる中、電子有料版は2016年ぐらいからほとんど契約者数は変わってないとみられています。そうすると、希望退職を募らないと会社は回っていかないっていうことになる」
ウェブに移行するのは歴史的必然だと考えられますが、無料のメディアを広告だけで維持するのは非常にむずかしい。有料化こそが黒字化の道であるというのは、純粋に経営的な視点で考えれば、その通りだと思います。ただこれを軌道に乗せるためには、二つの条件があるとわたしは考えています。
第1に、そのメディアに「ここでなければ読めない」という専門性があるかどうか。
第2に、記事の品質の高さや良いユーザー体験が担保されているかどうか。
下山さんのインタビューでは成功した事例として日経新聞と英エコノミストが挙げられています。どちらも経済紙という高い専門性を持っています。ここは重要なポイントです。とはいえ専門紙しか有料化は成功できないというわけではありません。一般紙の成功事例としては、米ニューヨークタイムズが有名でしょう。ニューヨークタイムズが有料のウェブメディアとして成功したのは、記事の品質の高さに加えて、ウェブの見やすさ使いやすさも非常に大きく貢献しています。ウェブ版にしかできないような動的な見せ方の記事も多い。
これらの視点から日本の一般紙をふりかえると、専門性でも品質の高さでもウェブのユーザー体験の打ち出しにしても、いずれも「決定的に弱い」と言わざるを得ません。
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