【波瀾万丈】
渋谷に行くのは控えていたが、現実的に生活の問題があった。
そこは雪が降る地域で、冬はとにかく寒くて、灯油が切れて暖房が使えなくなり、ヤバい状況で、あまりにも寒いので何回も湯船に浸かって、体を温めて布団に潜り込んで何とか過ごしたのだった。
次の日、灯油を買いにガソリンスタンドまで行ったのだが、何を思ったのか、20リットルの灯油の容器を2つ持って行って、2つとも満タンにしてしまったのだった。
一つだけだとバランス悪いのであえて2つ持って行ったのだが、20リットル2つはかなり重かった。
「しまった、10リットルづつにすれば良かった」
途中で気づいたが後の祭りである。
何度も休憩をしながらようやくアパートに帰り着いた時にはすっかり汗だくになり、暖房いらずで暑くなっていたのだった。
友達のアパートには冷蔵庫が無かったが、冬は窓際に発泡スチロールの箱を置いておくと、中は冷蔵庫のように冷え冷えになっていた。
テレビもなく、当時は携帯もスマホもない時代なので、一人で部屋にいても何もやる事がなく、本を読むくらいしかなかったのだが、家で本を読んでいると気が乗らないので、近くの喫茶店で本を読んでいた。
しかし、生活費を稼がなれば限界が近づいていたので、またバイトを探すことにしたのだった。
今度は単発で何かないか探していると、内容は分からないが1日で12,000円のバイトがあったので応募してみると、次の日からすぐにきてほしいとの事だった。
面接もなく、いきなり次の日からバイトが始まった。
しかも日払いだったのでちょうど良かった。
というのも、みつおの財布には300円しかなかったのである。
みつおはその300円を見つめながら悩んでいた。
「おにぎりを買うか、タバコを買うか」
当時は220円でタバコが買えた時代である。
おにぎりなら2個買えるが、腹は満たせてもその後タバコを我慢するのはキツい
タバコを買えば1日は持たせる事ができる。
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