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COVID-19 ~4年経過して思うこと~

ドクター畑地の診察室
ドクター畑地の診察室169.2022.12.4. 現役呼吸器内科、総合内科専門医 畑地治です。 世の中に「○○飲んだらすべての病気が治った」「○○制限食をとったらすべての人が健康になる」等、出鱈目情報が溢れています。現代医療の特徴は精密医療で万人に効くような治療はありません。治療方法は個人によって全く違います!おそらく日本で一番多くの呼吸器疾患患者(肺癌、喘息、COPD、肺炎など)を診療する専門医が、最先端の精密医療を解説&ネットでは出し辛い医療や治療の裏側も配信! https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 https://fmmie.jp/program/getsumoku/hiosamu.php *****************************  COVID-19 〜4年経過して思うこと〜  イエスキリスト誕生以前はBC表記とし、誕生後はADと表することが一般的である。Before Christは知っていたが、Anno Domini「主の年に」とは知らなかった。来年は2024ADとなるわけである。  近代医学の発展とともに種々の感染症を克服した人類は、今、COVID-19をも克服しつつあるのかもしれない。もっとも、敵もさるもので、ずっと単一であるわけではなく、さまざまに変異し、人類はじめとする生物との生存競争に勝とうとしているわけであるが、最近の変異の過程では、種々の感染症がたどるべき道筋とおおむね同じ方向、すなわち伝播力を強くすること、弱毒化することに向かっている印象を受けるわけである。  人類はCOVID-19との戦いにおいて短期間で2つの大きな武器を得た。すなわちワクチンと治療方法の開発である。4年経過し、すべての医療がCOVID-19を中心に回っていたため、色々な弊害も出てきたし、気づいたことも多くあった。院長であると同時に、呼吸器内科医師として勤務している私は、日々の診療において色々思うことや気づいたこともあり、今回そのことを記載させていただく。  現在、呼吸器内科病棟に入院している患者の内訳を考えると、肺癌患者が最も多いことに関して、異論はないと思われる。さて、その肺癌患者の病状を評価するためには、定期的にCTを撮影する必要があるわけだが、腋下リンパ節が腫脹している患者がかなり多いわけである。最初はどういうわけか、非常に悩んだわけではあるが、何のことはない、mRNAワクチン接種後の腋下リンパ節腫脹だったわけである。最近では、慣れたもので、腋下リンパ節腫脹を見つけた際には、すぐに接種時期と接種した腕を聞くことにしている。  さて、我々は、COVID-19患者の診断をするため、発熱外来なるものを設け、PCR検査を行ってきた。しかしながら、この発熱外来、良きにせよ、悪しきにせよ、PCR検査を行い、COVID-19の診断のみ行ってきた感がある。したがって、その他の発熱をきたす疾患の診断が、かなり後手に回ってしまっている感があるわけである。従来、呼吸器内科領域では、発熱患者が来院した際には、肺炎の鑑別を念 頭に置いて診察が進められた。しかしながら、現在は、発熱患者を診察する際には、医師の側も患者の側もCOVID-19に罹患していないのかどうかが最大の興味になってしまい、他の疾患が後手に回っているわけである。昔だったら当然抗菌薬で治療されていただろう肺炎が、放置され、結局数週間の経過で自然治癒し、器質化と拘束性障害を残した症例をしばしば経験する。COVID-19の有無のみではなく、しっかりと通常の診療 も必要であると思われる。  最後に、呼吸機能検査が行われなくなった。喘息やCOPDなどの閉塞性疾患を診断し、治療していくには必須の呼吸機能検査であるが、エアロゾルの暴露などを考え、現在は休止している病院も多いと聞く。賛否両論はあろうかと思うが、我々の施設では、パンデミック以降も、もちろん十分注意してではあるが、通常通りの呼吸機能検査を行っている。幸いなことに、今まで数千人の患者の呼吸機能検査を行ってきたが、検査によって、COVID-19の感染をきたした事実は、自分が把握する限りではないことを申し添えておく。  COVID-19パンデミックをきたして4年目となった。後世、場合によってはCOVID前と後でBC(BeforeCOVID)、AC(AfterCOVID)なんて表記する可能性はなくはない。さしずめ2024年は4ACとなるわけであるが、もうここらで終わりになってほしいと、誰もが願っているに違いない。 ***************************** ドクター畑地の診察室169.2022.12.4号 毎週日曜日お昼に配信予定です。 次号は2022.12.11.です。 お問合せ、感想などはコチラまで zm.magumagu@gmail.com 畑地 治 https://zipangu-management.co.jp/culture_000/hataji/ 三重県出身 自治医科大学卒業後、僻地診療、三重大学勤務を経て、呼吸器内科医師となる 松阪市民病院院長 https ://mie-matsu-kokyuki.mars.bindcloud.jp/ https://www.facebook.com/mch.respiratory.center/ 診療の傍らFM三重で「肺、おさむに聴け!radioを聴いてらんらんらん(lung lung lung)」という毎週月曜日放送の番組を担当 ***************************** ★お知らせ★ 好評発売中『ドクター畑地の診察室』バックナンバー 1ヶ月分を220円で購入できます。気になった号がある方はぜひチェックしてみてください! ◆2022年11月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/11 2022/11/27 水道水と井戸水 2022/11/20 チャーハン 2022/11/13 肺癌患者さんの会パート2 2022/11/06 肺がん患者会 ◆2022年10月 https://www.mag2.com/archives/0001688238/2022/10 2022/10/30 ホーリーサクセスフルナイフ 2022/10/23 いつまで治療を続ければよいのか 2022/10/16 年に一度の検診

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