11月30日のスピーチでパウエル議長は、現在進行形のインフ
レについても、コアインフレ(コアPCEでは5%のインフレ)を
三つの部門に分けて、とても分りやすい案内をしてくれました。
「財のインフレ」は、既に年初から既に3%下落していて、イン
フレ鎮圧が既に始まっているとのこと。
「住宅サービスのインフレ」も、新規の賃貸物件の価格が今年中
央から急激に下落しているので、来年後半には下落を開始するだ
ろうとのことで、こちらもインフレ鎮圧の目処がほぼ立っている
とのこと。
残る「(住宅サービスの除く)サービス全般のインフレ」こそ
が、今後のアメリカ国内のインフレ鎮圧の鍵を握っていて、この
部門のインフレは賃金上昇率に大きく左右されるとのこと。パウ
エル議長は、利上げを慎重にゆっくりと実施してゆくことで、現
行の「賃金上昇率:5%前後」をさらに1.5%~2%くらい引
き下げて、「賃金上昇率:3%台」に引き下げることを望んでい
るとのこと。
ところが、クルーグマンやシーゲル博士などのハト派の学者達
は、「財のインフレが年初から3%も下落している点、住宅部門
で新規の賃貸サービス価格が今年半ばから急激に下落している点」
をとても懸念しています。
彼らによれば、「これはもはやインフレではなく、ディスインフレ
が始まっていることだ!!!」とのこと。
彼らハト派の学者達は「インフレ退治のためには、まずは賃金上
昇率の引き下げありき」のパウエル議長のスタンスに異を唱えて
います。
彼らは、「パウエル議長が言うように、賃金の上昇率を不自然に利
上げで引き下げようとすれば、アメリカ経済は深刻な不況に陥っ
てしまう」と、大変懸念しているのです。
似たような「ハト派とタカ派の意見対立」は、もちろんFRB内部
でも存在しています。
12月2日発表の「アメリカの11月2日の雇用統計」の「11月
の賃金上昇率」が大いに注目を集めました。
「11月の米雇用統計」では、賃金上昇率も前月比プラス0.6%、
前年比でもプラス5.1%と、想定外に伸びが加速していました。
FRBのインフレとの戦いは、まさしく「海図無き手探りの旅」で、
「引き締め過ぎにならないように」慎重に慎重に、ゆっくりとゆ
っくりと利上げを模索してゆく分だけ、想定以上「時間をかけ
た長い戦い」になる可能性があります。
ゆっくりと慎重な利上げは、株式市場にはポジティブです。
それでも、パウエルFRBが今度は「利上げのし過ぎ」で再び間違
える可能性が、およそ50%近くの高確率で存在しています。
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