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米国金利が上昇しなくなってきたもののいよいよリセッションの声が聞こえ始めたことで軟調に推移するグローバルの株式市場。クリスマスや年末ラリーのアノマリーをはやす声が若干トーンダウンしていますが週末にかけてようやくリバウンド。12月FOMCに向けてまだまだ上下ありそうですが一旦落ち着きを取り戻しています。日本株は今年最後のメジャーSQを無事通過、若干あく抜け感が見られますが引き続き米国市場動向を見ながらの神経質な動きになりそうです。それではクリスマスの足音を聞きながら今週の週刊xoxoスタートです。
xoxo
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今回のテーマ
1.個人投資家が理解すべきプライムブローカー業務 その2
2.グローバル株投資家は、2023年を見据えて、今なにをすべきか?
3. メジャーSQの基礎知識 メジャーSQの戦略
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1.個人投資家が理解すべきプライムブローカー業務 その2
アルケゴス問題を理解すると証券会社と投資家とのプライムブローカー業務を通しての関係性が大変よく理解できる。
■アルケゴスとは一体何だったのか?
多分読者の方々がこのアルケゴスという存在を知ったのはその問題が発覚して証券会社が大きな損失を出したニュースが報じられてからだと思う。
そもそもアルケゴスは元タイガー・マネジメント(米国ヘッジファンド)で働いた経歴をもつビル・ファンが設立したファミリーオフィス。
今回の問題で一番のポイントと思われるのがこのファンドがファミリーオフィスだったということ。
ファミリーオフィスはいわゆるヘッジファンドと違い通常小規模で外部資金で運用されているわけではないのでファンド運用に関する規制が緩くなっていた。
アルケゴスもビル・ファン個人資金でスタートした。
例えば設立時の登録や情報の開示などが緩かったのだが、その緩さを上手く利用してこのファンドは大きなレバレッジをかけて運用した。
この時に彼らが利用したのが証券会社とのプライムブローカー契約だ。
先週書いたが証券会社のプライムサービス業務の中に与信業務がある。つまり投資家は担保を差し入れ手数料(金利)の支払い、それに対して証券会社は与信を提供する。
アルケゴスはこの『トータルリターンスワップ(TRS)』という形で表に出ないで巨大化した。
このTRSは信用取引のようなものである。あくまでも表向きは契約を結んだ証券会社の取引のように見えるがその裏でパフォーマンスは投資家に帰属する。
報道によるとアルケゴスは100億ドルの資産に対してその10倍レバレッジをかけた1000億ドルを運用していたとのこと。
これを個人資金運用で始めたというところは恐れ入る。
しかし所謂ウルトラリッチ層といわれる属性は世界中で増加しており、なんと運用規模100億円以上のファミリーオフィスは1万社近く存在するという。
米国に関して言うとトランプ政権のもと規制緩和もしくは規制凍結方向で政策が動いていたこともこのようなウルトラリッチ層増殖に一役買っていた可能性は高い。
ただこのようなレバレッジをかけたファンドは何かのタガが外れると逆回転を始めることは歴史を紐解けば容易に想像できる。
■アルケゴス問題
下記チャートを見ていただきたい。
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