【堕落】
「俺やっぱりいいわ、お金ないから…」
飲み会に誘われて断ろうとしたのだが
「何言ってんすか?今日の主役は金城さんですよ、主役は金出さなくていいから行きましょう」
「えっ?何で俺が主役なんですか?」
「金城さんのエピソード、他にもあるでしょ、今日はそれを肴に酒を飲むんですよ」
立ち話で盛り上がった延長で飲みに行くことになったらしく、会費はいらないと言う事で一緒に飲みに行くことになった。
酔っ払ったみつおは、自衛隊の時のエピソードや船で上京した話などを話して盛り上がっていた。
「金城さん、最高っすね、小説にしたら売れるんじゃないですか?」
誰も経験できないような事を沢山経験しているみつのの話は、みんなにとって最高のネタだったのである。
そこは道玄坂の横道を入った所にある安い居酒屋だった。
「今日はマージンが入ったから俺が奢るよ、もう一軒行こう」
酔っ払って太っ腹になっているメンバーの誘いで、半分の5人くらいで二次会に行った。
久しぶりに浴びるほど飲んだみつおは記憶がなくなるくらい、ベロンベロンに酔っていた。
終電に何とか間に合って、電車に乗ったのはいいが…
新宿から秦野までは急行はなく、各駅停車で帰るしかなかった。
急行でも2時間かかる所まで各駅停車だと3時ちょっとかかってしまう。
幸いに座る事ができたので、気長に帰ることにした。
しかし、酔っ払った状態に電車に揺られて寝ないはずがない。
ぐっすりと眠ってしまったのであった。
「お客さん、終点ですよ」
遠くから声が聞こえた。
しかし、夢だと思ってまた眠りにつくと
「お客さん、お願いします。終点ですので降りてください」
それは夢ではなかった。
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