緩和後に病院・薬局が混乱
サマーズ氏が大混乱を予測
及び腰の有力欧米投資銀行
中国は、3年間もゼロコロナを続けたが12月7日に突然、一部規制を緩和すると発表した。緩和に向けた準備過程もなく、文字通りの「突然」であった。それは、当局にとって極めて不利な事態が進行していることに気づかされた結果である。独裁者に、それまで最も都合の悪い情報が伝わらなかったからだ。
全土で、繰り広げられたゼロコロナへの不平不満を訴える街頭デモが、一部規制緩和へのきっかけになったのではないのだ。これよりも、はるかに深刻な理由があったのである。
中国で、米アップル製品を製造する鴻海(ホンハイ)創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏が、中国指導部に宛てた書簡が大きなきっかけであった。その書簡で、厳格なコロナ規制によって、世界のサプライチェーン(供給網)における中国の中心的地位が脅されると指摘したのである。鴻海従業員への規制にも、一段の透明性が求められると述べた。書簡を送付したのは、鴻海の鄭州工場がコロナ規制を巡る混乱で揺れていた1カ月余り前だった。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月9日付)が伝えた。
中国最高指導部は、この郭氏の書簡によって初めてアップルの動向を知って愕然としたのだ。アップルが、インドやベトナムへ工場進出する情報は、すでに広く伝わっていた。それが、習近平氏の耳に届かなかったのは、「不都合な事実」ゆえにもみ消されたからだ。習氏は完全に裸の王様であった。冒頭に取り上げた、「独裁者には、都合の悪い情報が伝わらない」結果になった。こうして最高指導部に危機感が強まっていた上に、若者たちの不満デモが重なって、ゼロコロナの一部規制緩和へと踏み切ったと見られる。
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