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第194号 タバコ税でミサイルを大人買い/ヴォルフガングと悪魔の話/兎/マーズ・サンプル・リターン計画

きっこのメルマガ
  • 2022/12/14
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「タバコ税でミサイルを大人買い」 岸田文雄首相は今年5月、米国のジョー・バイデン大統領に「日本の防衛予算の相当の増額」と「トマホークミサイルの大人買い」を密約しました。そして、翌6月、シンガポールの「アジア安全保障会議」での講演で「防衛予算のGDP比2%への引き上げ」を宣言し、その予算で「日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と述べました。当然、日本全国からは「聞いてないよ~」というダチョウ倶楽部のような声が巻き起こり、野党だけでなく与党の中からも「参院選の直前に何を言っているのか!」という批判が出ました。 しかし、直後の参院選では安倍晋三元首相が銃撃されるという大事件が起こり、それを発端に自民党と旧統一教会との長年の癒着が浮き彫りとなり、世の中の耳目は統一教会一色となってしまいました。岸田首相は、統一教会問題を受けての改造内閣が「統一教会と関係のある閣僚ばかり」という自爆テロを起こした上、新型コロナの第7波の最中に経済優先を強行し、わずか2カ月で1万5000人を超える国民を死亡させるという最悪の逆リーダーシップを発揮しました。 そのため、多くの国民は、岸田首相が6月に海外で垂れ流した「防衛予算のGDP比2%への引き上げ」などという寝言など、完全に忘れていました。ところが、言った本人だけは覚えていたようで、この秋の臨時国会の閉会という絶妙のタイミングで、ひょっこりと再燃させたのです。しかし、内容に関する説明が皆無で、兎にも角にも「2023年度から5年間で防衛予算を総額43兆円に増やす」の一点張り。当初は財源すら口にしませんでした。 普通、予算というものは、たとえばオリンピックを開催する場合なら、メインの会場の建設費がいくら、何々競技の会場の建設費がいくら‥‥というように、具体的に必要な予算を積み上げて行き、トータルの予算を概算します。そして、次に財源を考え、それからすべてが始まります。しかし、今回の岸田首相のやり方は、まず「防衛予算のGDP比2%への引き上げ」ありきで、その予算をどのように使うのかも、財源をどうするのかも、すべてが白紙状態からのスタートでした。 防衛予算を現在のGDP比1%から2%に引き上げるためには、ザックリと毎年4兆円強が必要になるわけですが、与野党から財源を問われた岸田首相は、ナナナナナント!「4兆円強のうち3兆円は歳出の削減でまかないます」、つまり「節約します」と言ったのです。つーことは、これまでの日本は、毎年3兆円も税金を無駄遣いしていたのだと、現職の首相自身が認めたわけです。 そして、残りの1兆円強はどうするのかと言うと、今のところ、自衛隊の施設などには建設国債を使い、他の装備は法人税を5%ほど増税し、2000~3000億円はタバコ税の増税、残りは所得税に2.1%を上乗せする形で徴収している復興特別税の一部を防衛費に付け替える方向で検討していると言います。しかし、復興特別税は2037年までと決まっているため、ここから防衛予算を補填するのであれば、復興特別税が半永久的に延長され続けて行くのです。 いろいろとツッコミどころは満載ですが、今回はこれらの財源候補の中から、もっとも無意味な「タバコ税の増税」について、分かりやすく解説したいと思います。タバコを吸うと言っただけで一気に肩身が狭くなる今の世の中ですから、最も増税しやすいのもタバコ税です。世の中の過半数を占める嫌煙家にとっては、タバコがどれほど増税されても自分には1ミリも関係ないし、何ならどんどん増税されて喫煙者が減ってくれたほうが助かると思っている人も多いでしょう。 でも、そう単純な話じゃないのです。まずは、一番売れてるメビウス、かつてのマイルドセブンの1箱20本の価格の推移を見てください。 1977年6月 150円 1980年4月 180円 1983年5月 200円 1986年5月 220円 1997年4月 230円 1998年12月 250円 2003年7月 270円 2006年7月 300円 2010年10月 410円 2014年4月 430円 2016年4月 440円 2018年10月 480円 2019年10月 490円 2020年10月 540円 2021年10月 580円 あたしが子どもの頃、父さんに200円わたされてタバコを買いに行くと、お釣りの20円がお駄賃でもらえました。あたしが高校生の時、初めて自分のお金で買ったセブンスターは220円でした。その当時と比べると、今のタバコは約3倍の値段です。それなのに、あたしの高校時代のバイトの時給は800~900円、30年以上も経った現在のバイトの時給は900~1000円、ほとんど変わりません。 ま、それはそれとして、現在、1箱580円のタバコには、タバコ税136.04円、タバコ特別税16.40円、計152.44円の「国税」と、道府県タバコ税21.40円 市町村タバコ税131.04円、計152.44円の「地方税」が課せられているので、「国税」と「地方税」を合わせて304.88円ですが、さらに消費税が52.73円も課せられているので、1箱あたりの税金は357.61円、なんと販売価格の61.7%が税金なのです。 そして、その税金の使い道ですが、タバコ税は一般財源なので、何に使われているのか分からないのです。分かっているのは、「国税」のタバコ税136.04円のうち25%が地方交付税として都道府県や市町村に分配されていることと、16.40円のタバコ特別税が、かつての国鉄の債務や国有林の事業の債務の返済に充てられていること。「地方税」はそのまま地方が使っているので、国が自由に使えるのは「国税」のタバコ税136.04円のうち75%だけなのです。 で、それが何に使われているのかと言うと、

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