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vol.155:変わりつつある日本製品に対するイメージ。浸透する日系風格とは何か

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2022/12/19
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 155 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、日本ブランドが中国でどう見られているか、その変化についてご紹介します。 日本では中国進出の成功例として報じられることの多い、四川省成都市のイトーヨーカー堂1号店が、今年いっぱいで閉店することが決まりました。理由は、地権者との契約更改交渉が不調に終わったということで、他の10店舗は営業を続けるそうです。しかし、業績面でも一時の勢いがなくなっていることは確かです。 また、無印良品の中国事業が2018年頃から、業績が伸び悩み、苦しい状況に追い込まれています。しかし、MUJIは中国の20代、30代の男女から圧倒的な支持を受け、人気ブランドのひとつなのです。それがなぜ業績不振に陥るのでしょうか。ものすごく残念というか、もったいない話です。 日本のイメージは、中国では非常に良好なもので、中国企業なのに日本企業であるかのような誤解を誘うプロモーションを行ったり、日本風の要素を商品に取り入れている企業も少なくありません。 しかし、ここにきて、そのような企業が、日本風要素を排除し、脱日本化に動いています。これはなぜなのでしょうか。 今回は、MUJIの中国事業が苦境に立たされている理由と、脱日本化が進む事例を通じて、日本のイメージがどのように変わったのかをご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 155 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ 変わりつつある日本製品に対するイメージ。浸透する日系風格とは何か 小米物語その74 アリババ物語その74 今週の「中華IT最新事情」 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 変わりつつある日本製品に対するイメージ。 浸透する日系風格とは何か ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、日本ブランドのイメージの変化についてご紹介します。 たいへん残念なニュースがあります。中国で成功した日本企業の事例として有名なイトーヨーカ堂成都市春熙店が今年2022年いっぱいで閉店をするそうです。この春熙店は中国のイトーヨーカ堂1号店で、イトーヨーカ堂だけでなく日本企業小売チェーンの象徴的な店舗にもなっていました。 理由は業績不振ではなく、地権者との契約更改が不調に終わったためで、その他に展開する10店舗は営業を続けていきます。しかし、業績不振が理由ではないと言っても、近年のイトーヨーカ堂の業績が低迷をしていたのは紛れもない事実です。特に2019年からの落ち込みは顕著で、四川省チェーン商業協会が発表している成都市の商業施設のランキング50にも、イトーヨーカー堂双楠店が2020年に15位、2021年に18位にランキングされているだけで、その他の店舗はランキングされていません。 また、中国チェーンストア経営協会が発表している中国スーパーの100位ランキングでも、2019年のランキングの30位にイトーヨーカー堂がランキングされていますが、2020年以降はランキング外になっています。 理由は外的要因が強いようです。成都市でも次々と新しい商業施設がオープンをしてそちらに客流を取られてしまったようです。また、春熙店は成都市の中心部にあり、近年の都市計画により都市周辺が発展をし、中心部では人口が減少をし、オフィス街化が始まっています。いわば銀座にスーパーがあるような話で、この変化もイトーヨーカ堂にとっては逆風になりました。 いずれにしても、残念であり、寂しい話です。 イトーヨーカ堂の戦略の特徴は、店舗を拡大しないということです。成都で10店舗、北京で1店舗を展開していますが、それ以外の都市には結局展開をしませんでした。中国では1都市で成功したら、一気に他都市展開をしてスケールするのが常識なのにそれをしなかったのです。多くの中国人関係者が、これをイトーヨーカ堂戦略の誤りと見ていました。 イトーヨーカ堂がなぜスケールしない戦略を取ったのか、確かなことはわかりませんが、私はなんとなく理解できます。イトーヨーカ堂は1997年11月に成都春熙店、北京店の連続開店を予定していましたが、北京店の開店が準備の遅れにより開店ができなくなりました。そこで、北京店用に用意をしていた商品を成都店に転用をしましたが、これが大失敗でした。 北京と成都では食べるものの好みがまったく違います。北京は饅頭などの粉物文化ですが、成都は四川料理の中心地です。また、北京ではモノトーンの衣料が売れると見込んでいましたが、成都の女性は原色が大好きです。 開店初日から惨憺たる有様で、売上は想定の1/3でしかなかったのです。それ以降も、成都の消費者から見れば「なんか勘違いした商品ばかりの百貨店」と見られ、3年ほどは鳴かず飛ばずというよりも、いつ撤退してもおかしくない状況が続きます。

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