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高野孟のTHE JOURNAL Vol.580 2022.12.19
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1186》
《脅威論2》日本が直面している「脅威」とは?/「K
半島事態対処計画」の信じられないほどの虚妄性
【2】《CONFAB No.546》
閑中忙話(12月11日~17日)
【3】《FLASH No.493》
フェイク情報が社会全体を駆け回る…防衛省がAI活用で
情報操作など正気の沙汰ではない/日刊ゲンダイ12月15
日付「永田町の裏を読む」から転載
■■INSIDER No.1186 22/12/19 ■■■■■■■■■
《脅威論2》日本が直面している「脅威」とは?/「K
半島事態対処計画」の信じられないほどの虚妄性
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先週号の末尾で述べたように、冷戦の終わりを受けて
日本でも、旧ソ連を筆頭に北朝鮮、中国の旧共産圏諸国
(自衛隊の符牒でZ・Y・X)を仮想敵と設定しその“脅
威”に日米韓(同A・B・C)の軍事同盟で立ち向かうと
いうそれまでの安保の基本構想を抜本的に見直そうとす
る知的な試みが広がり始めたものの、折悪しく北朝鮮が
核不拡散条約(NPT)を脱退して核・ミサイル開発に走
ることを宣言、それに激怒した米クリントン大統領が一
時は寧辺核施設を空爆で破壊し金正日を爆殺ないし斬首
する作戦を決意する事態が生じ、たちまち旧ソ連に代わ
って北朝鮮が諸悪の根源であるかの時代の空気が出来上
がった。その時期に自衛隊の統合幕僚会議が密かに練り
上げたのが「K半島事態対処計画」である。
●空想力の産物
同計画の内容を詳しく紹介した半田滋『自衛隊vs北朝
鮮』(新潮新書、03年刊
https://amzn.to/3PDXnT1 )
によると、当時の自衛隊が想定した北朝鮮の日本侵攻シ
ナリオは(1) 航空侵攻、(2) 弾道ミサイルによる攻撃、
(3) 正規軍の特殊部隊(ゲリラ・コマンドウ)による上
陸攻撃、(4) 海上交通路妨害、の4つ。いずれも、空想
力を精一杯拡張して「もしかしたらこんなことも起きる
かもしれない」と並べてみたという体のもので、実際に
は、その時すでに米軍の核を含む攻撃に晒され米韓合同
軍との地上戦も始まっているであろう危機の真っ最中
に、直接の交戦国ではない(米軍基地を提供し自衛隊が
後方支援を担当する間接の対米支援国ではあるが)日本
に対し、1機の航空機はおろか1人の兵員さえ差し向け
る必要などある訳がなく、また仮にあったとしてもその
ゆとりがある訳がない。
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