永田町異聞メルマガ版
「国家権力&メディア一刀両断」 2022.12.22
新 恭(あらた きょう)
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防衛費倍増と増税をめぐる嘘八百
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ウソがまかり通っている。「国家安全保障戦略」など3つの文書を閣議決定し
たあとの記者会見。岸田首相は言った。防衛力を5年かけて抜本的に増強する
ために、毎年4兆円の安定財源が必要で、そのうち3兆円は歳出改革で賄うが、
あと1兆円は税負担をお願いしたいと。
3兆円が予算の組み換えでなんとかなるのなら、なぜ4兆円までがんばらないの
か。無駄な予算は掃いて捨てるほどあるだろう。それを削って回すのにわざわ
ざ3兆円までという限度を設ける。そして、その数字に確たる根拠があるわけ
ではない。どの予算を切るかの検討は今後の作業であるからだ。
つまりこれは、財務省のウソである。岸田首相は言われるがままに垂れ流し、
メディアはメディアで、どうしても1兆円足りない理由を問い詰めようともし
ない。不思議な物語を素直に受け入れ、せいぜい、国債発行で賄う手もあるの
ではないかと言う程度なのだ。
いうまでもなく財務省の“力の源泉”は、各省庁が要求する予算を査定する権
限にある。そういう立場からすると、財源となる税収は多いほどいいわけで、
理由が見つかりしだい課税し、取り立てる。
一方で、国債発行について財務省が嫌がるのは、税収という限られた財源のな
かから予算を捻出するありがたみが失われ、財務省の権限低下につながるから
であって、必ずしも「財政健全化」というお題目のためだけではない。
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