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vol.156:あらゆる商品が1時間で届けられる時代。デリバリー経済がさらに進化する中国社会

知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
  • 2022/12/26
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 156 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。 今回は、即時小売についてご紹介します。 即時小売とは、ネットで注文をすると、配達スタッフが倉庫や店舗在庫をピックアップして、1時間程度で配達してくれるサービスです。 最も身近なのは、ウーバーイーツのようなフードデリバリーです。中国では美団、ウーラマの2社が大手のフードデリバリーですが、近年、スマートフォンや薬品、化粧品、コンビニ商品などの配達にも対応するようになっています。 中国のデリバリーはシステムが高度に発達をしていて、デリバリースタッフは複数の配達を同時進行でこなすのがあたりまえになっています。このため、日本のデリバリーと比べて、単位時間あたりに2倍ほどの配達をこなせるようになっています。これにより、配達スタッフの報酬も高くなり、貧困から脱出をする仕事、失業した時の短期的な収入源、学生・社会人の副業として認知されています。 デリバリー企業が、さまざまな商品を扱い、なおかつドローンや無人カートの開発に積極的なのは、このようなテクノロジーを使うと、配達ネットワークの効率がさらに高まるからです。 では、どうして、ドローン配送を導入すると、配達ネットワーク全体の効率が高まるのでしょうか。 今回は、どのような即時小売が行われているのかをご紹介し、それから配達ネットワークの効率を高めるアルゴリズムについてもご紹介し、中国のデリバリー企業が何を目指しているのかについてご紹介します。 知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 156 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼ あらゆる商品が1時間で届けられる時代。デリバリー経済がさらに進化する中国社会 小米物語その75 アリババ物語その75 今週の「中華IT最新事情」 Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ あらゆる商品が1時間で届けられる時代。 デリバリー経済がさらに進化する中国社会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回は、「即時零售」についてご紹介します。 即時はリアルタイム、零售は小売のことで、オンラインで購入したものを30分から1時間程度で配達してくれる小売モデルのことです。配達を行うのは、美団(メイトワン)、ウーラマなどのフードデリバリー企業で、2018年頃から、飲食以外の分野に積極的に対応をし、現在では、店舗や倉庫、スーパー、コンビニからさまざまな商品を届けてくれるようになっています。また、ここに商機を見て、順豊(シュンフォン、SF Express)などの宅配企業も参入するようになっています。 フードデリバリーも飲食品に特化をした即時零售であり、おなじみのアリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)の宅配部分だけを取り出せば即時零售になります。さらに、他のスーパー、コンビニ、店舗なども宅配に対応しているところが増え、これも即時零售です。 2021年の即時小売では、8割が飲食品、2割が一般商品ですが、東呉証券研究所のレポートでは、2025年には飲食品割合は60%から70%程度になると予測しています。 即時零售には訳語がまだ定まったものがないようです。英文では一応Real Time Commerce、日本語ではリアルタイム小売という言葉が使われ始めていますが、まだまだ一般化されていないようです。このメルマガでは「即時小売」という言葉を使いたいと思います。 即時小売が使われることが多くなっているのが薬品です。急な発熱、腹痛などの時に薬局に薬を買い行くというのはつらいことです。また、一般的な薬局には営業時間があるため、深夜などでは買うことができません。しかし、即時小売であれば、24時間営業の薬局や倉庫から商品をピックアップするため、24時間いつでも30分で持ってきてくれます。配達料はかかりますが、薬の単価は高いのであまり気になりません。それよりも、必要な時にすぐに持ってきてくれる利便性が勝ります。 また、今年は新発売のスマートフォンを即時小売で買う人が増えました。即時小売側がサービスを普及させるため、配送料無料キャンペーンを行ったこともありますが、新しいスマホは誰でも早く使ってみたいものです。宅配便の翌日配送より早く持ってきてもらえる即時小売が人気となりました。 また、単身者は昼間、家にいないために、宅配便の受取りが意外に面倒です。そのため、自宅配送よりも、公共宅配ロッカーや配送拠点留めにして、都合のいい時間に自分で取りに行くという人も少なくありません。これが即時小売であれば、30分配送ですから、会社で受け取ることもできるわけです。即時小売のいいところは、受取が30分後ですから、自分がどこにいるかがはっきりとし、待っていられる時間であるという点です。どのくらいそういう指定をする人がいるかは分かりませんが、カフェを指定して、そこに持ってきてもらうこともできます。

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