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石川 温の「スマホ業界新聞」
2022/12/24(vol.497)
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《目次》
1.大阪府とKDDIが「バーチャル大阪」立て直しで協定を締結
-----予算ナシで「過疎空間」に人を再び呼び込むことはできるか
2. 「ニッポンの5G」は韓国や台湾、中国に大きく出遅れ
----キャリアが再び設備投資を活発化させる日は来るのか
3.ソフトバンクがジャパネットの複合施設にICTを支援
-----6000人収容のアリーナを黒字化させることはできるのか
4.今週のリリース&ニュース
5.編集後記
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1.大阪府とKDDIが「バーチャル大阪」立て直しで協定を締結
-----予算ナシで「過疎空間」に人を再び呼び込むことはできるか
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12月21日、大阪府とKDDIは包括連携協定を締結。大阪府庁舎で行われる締結式に吉村洋文知事と髙橋誠KDDI社長が出席するということで取材してきた。
包括連携協定では地域活性化やスマートシティ、環境対策、産業振興など8つの分野が対象となっているが、特に重視されているのが2025年に開催予定の大阪・関西万博のピーアールだ。
大阪府ではメタバース空間である「バーチャル大阪」を手がけているが、KDDIと協定を結ぶことでテコ入れしたいようだ。
そもそもバーチャル大阪は大阪市と大阪府が約1億円をかけてKDDIや吉本興業、博報堂などに発注。お笑いライブなどを開催し、1ヶ月で10万人が来場していた。
しかし、共同企業体との契約は今年3月までで終了し、4月からは金銭の発生しない協定に切り替えられたようだ。このため、来場者が激減し、1ヶ月で5000人程度に留まっている。
在阪メディアには「仮想空間」ではなく「過疎空間」と書かれているほどだ。
いろいろとメタバース空間を試してきたが、やはり「継続的に使いたいと思わせる何か」がないと正直言って、厳しい。バーチャル渋谷など、ハロウィーンなどのイベントがあれば、「ちょっと覗いてみようかな」という気にもなるかも知れないが、普段からバーチャルな空間をプラプラ散歩する時間などなかったりもする。
Fortniteのように、ゲームがメインで人が集まり、結果としてコミュニティが形成され、自然とイベントが発生するといった空間を作り上げないことには、継続してユーザーは訪れてくれないだろう。
また、今後、様々なメタバース空間ができてくると、人の取り合いになってしまい、人気のないところは簡単に「過疎空間」になってしまうことだろう。
結局のところ、メタバース空間も、自治体の首長のような「このメタバース空間は、こんな風にしていきたい」というような街作りの提案してくれる人が現れて、空間の方向性を指揮してくれないといけないのかも知れない。
メタバースが地に足ついて、普及していくには、デバイスの使い勝手の良さ、空間を歩くときの操作性だけでなく、人が自然と集まってくる雰囲気作りが不可欠となってくる。
ただ、今回の協定は「大阪・関西万博のアピール」という明確な目標があるのだから、きちんと予算を投入して、定期的にイベントを行うなどの客寄せ施策が必要だろう。とはいえ、万博のパビリオンも建築会社からの入札がないところも出始めるなど、予算が限られており暗礁に乗り上げ始めている。
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