【お葬式】
「お母さん、みつおが帰ってきたよ」
みつおは空港から直接病院へと向かった。
電話での姉の泣き声が耳から離れない。
その泣き声で全てを悟ったのだが、それでみつおは暗闇の中へと閉じ込められたのだった。
タクシーでもずっと考えていた。
「あら、早かったわね」
病院の待ち合い室で会った姉は電話とは違って冷静だった。
「母ちゃんは?」
「まだ意識がないのよ、植物人間状態になってるってお医者さんが言ってた」
そう言って病室へと連れていってくれた。
鼻から管を通されて寝ている母親を見て、本当にヤバいのが分かった。
「母ちゃん!」
側に言って手を握ると、その手を上に持ち上げたのだった。
「お姉さん動いたよ、意識が戻ったんじゃない?」
「本当だね、お医者さんを呼んでみようね」
だが状態は変わらず、植物人間の状態のままだった。
管を通して酸素と栄養を送り延命処置をしているだけである。
その夜、家族会議が行われた。
「どうする?あのままの状態で良くなる可能性はないんだってよ」
お医者さんから、家族で決めてくださいと言われていた。
そのまま延命処置を続けるか、管を抜いて楽にしてあげるかの選択だった。
「えっ?そんな慌てて取らなくてもいいんじゃない?」
みつおは来たばかりでそんな話になるとは思っていなかった。
その状態が3ヶ月くらい続いてから話し合いになると思っていたのである。
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