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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 157
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、中国のユニコーン企業についてご紹介します。
新年明けましておめでとうございます。旧年中はつたないメルマガにお付き合いいただき、ありがとうございました。今年も、みなさまのお役に立てるように、中国のテクノロジーとビジネスの情報を取材、調査して、お届けしていきたいと思います。
コロナ禍や中国の経済成長自体が頭打ちになったこともあって、「中国ではスタートアップ熱が冷めている」という話もありますが、私の感触では冷めているようには思えません。むしろ、投資資金がだぶついていているため、チャンスと見ている人もいます。
2019年ぐらいまでの続々とスタートアップが登場して、急成長してナスダック上場を果たすという熱狂は無くなりましたが、あの頃は、「この分野がいけそうだ」と見ると、我も我も起業をするような現象が続きました。そのため、スタートアップ企業の数も統計上は大きなものとなりました。投資家も、エンジェル投資であれば額も大きくないため、宝くじを買う感覚で投資をしていたようなところがあります。
しかし、その熱が冷めてみると、確かにスタートアップ企業数は減りましたが、かえって厳選された印象があります。そのため、本文でご紹介しますが、2021年にはユニコーン企業となる企業数が過去最高になっています。
ピンチはチャンスというのはビジネスではよくある話です。コロナ禍という大きなピンチがあり、社区団購、新小売スーパー、クイックコマース、即時小売、ライブコマースといったビジネスが大きく成長しました。ビジネスというのは、社会にある課題を解決すると、お金がついてくるという構造のものなのですから、ピンチであるほど商機は拡大するようなところがあります。
今回は、新年の最初のメルマガということもあり、今、中国でユニコーン企業の現状がどのようになっているのかをご紹介し、そして、2015年前後にユニコーン企業となった「ユニコーン第1世代」企業が、今どうなっているのかをご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 157
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▼目次▼
中国のユニコーン企業の現状。第1世代ユニコーンはどれだけ生き残っているか
小米物語その76
アリババ物語その76
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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中国のユニコーン企業の現状。
第1世代ユニコーンはどれだけ生き残っているか
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今回は、中国のユニコーン企業についてご紹介します。
ユニコーン企業とは、創業10年以内で、企業価値が10億ドル以上、未上場の企業のことです。つまり、スタートアップ企業とはもう呼べないほど大きくなったけど、まだ上場をしていない企業のことです。
中国では「独角獣」(ドゥージャオショウ)と、ユニコーン(一角獣)の直訳がそのまま使われます。
ユニコーン企業は、上場目前の企業でもあり、上場も大型上場になる可能性が高いため、投資家にとっては垂涎の的になっています。もし、ユニコーン企業に投資ができれば、短期間で上場して大きな利益をもたらすことができるからです。
もちろん、世の中そんなに甘くはありません。すでに投資をしているベンチャーキャピタルや投資家たちが、経営権が薄まるのを防ぐために、新たな投資家の参入は防ごうとします。そんなところから、「誰でも知っているけど、なかなか捕まえることができない」幻の動物としてユニコーンという名前が使われるようです。
ただし、最近はこの定義もぶれてきて、創業10年以上でもユニコーンと呼ばれることが増えてきました。たとえば、SpaceXは、2002年にイーロン・マスクによって創業され、もう20年になる企業ですが、いまだにユニコーン企業と呼ばれることが多いようです。
このため、ユニコーン企業の統計は、調査をした機関の定義により異なってきます。このメルマガでは、調査会社の「胡潤」(フールン)のデータを使います。
以前は、ユニコーン企業はいずれ上場をするものだと考えられていました。上場をすれば創業者は大きな利益を得ることができ、いわゆる富豪になることができます。また、株式市場から広く資金を調達できるため事業を拡大させることができます。同時に、株主によるガバナンスが効くことにより、企業の運営が公正なものになります。未上場時に投資をした投資機関、投資家は、上場により資金が何倍にも増えることを望んでいるため、上場を急かします。上場しない理由はどこにもないというのが以前の考え方でした。
ところが、最近は、ユニコーンのまま、あえて上場をしない企業も増えてきました。上場をしなければ、株主は限定されたメンバーになるため、大胆な経営がしやすくなります。株式公開をすれば、まったく知らない人まで株主になることができ、いわゆる「もの言う株主」にも対応していかなければならなくなります。それが企業の方針上の違いならまだしも、企業価値を一時的にあげて売り抜けたいと考える株主に対応をするのは非常に難しい舵取りが必要になります。
また、公開企業になると、成長が事実上のノルマになることも大きな問題です。企業ですから成長をするのは当たり前のことですが、大きな成長を目的とする大改革を行うために、数年の間、業績を落ちることがわかっても実行するということもあるでしょう。公開企業では間違いなく株主から批判をされて、最悪の場合は経営者の解任動議が出されてしまいます。
これを避けるには、とにかく売上を上げるしかなくなり、儲かるのであれば創立時の志にはないこともしなければならなくなります。これは創業者にとって我慢ならないことでしょう。
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