2022.12.30更新分
■ 需要高まる「電炉」向け製品~GX実現に向けた国の施策も後押し
政府の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」が12月22日に開かれ、「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が取りまとめられた。
原子力発電の最大限活用、火力発電の脱炭素化、電化の推進など、具体化に向けた様々な構想が掲げられるなか、本稿では「高炉から電炉への鉄鋼生産体制の転換」に注目する。既知のとおり、電炉の方が高炉よりも二酸化炭素(CO2)排出量を抑えることができる。
そんななか、12月21日付の日本経済新聞は「電炉の基幹部材『黒鉛電極』の大手メーカーが相次ぎ、大型電炉向け製品の生産を増やす」と伝えた。
国内2位の東海カーボンは2025年までに大型の黒鉛電極の生産比率を現状の30%から50%に高める。また、国内最大手の昭和電工は30年までに同比率を30%から50%に高める。脱炭素に向けた鉄鋼各社による大型電炉の投資拡大に備えるという。
黒鉛電極は大量の電気を流し、放電による熱で鉄スクラップを溶かす。東海カーボンと昭和電工がそれぞれ生産量を増やすのは、「スーパーサイズ」と呼ばれる直径28インチ以上の黒鉛電極。スーパーサイズを商用生産できるのは両社のほか、世界最大手の米グラフテックなどに限られるとされ、世界の鉄鋼大手が相次ぎ電炉への転換を進めるなか、今後は黒鉛電極のような電炉向けの製品を扱う企業の中長期的な活躍が期待される。
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