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5金スペシャル:戦争とテロを乗り越えて仲間とともに生き抜くために[マル激!メールマガジ]

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マル激!メールマガジン 2022年1月4日号 (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ ) ────────────────────────────────────── マル激トーク・オン・ディマンド(第1134回) 戦争とテロを乗り越えて仲間とともに生き抜くために ──────────────────────────────────────  2022年最後となるマル激は、5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。今回は先週からスタジオに復帰した宮台真司とジャーナリストの神保哲生が、久しぶりの「2人マル激」で2022年を総括し2023年を展望した。  2022年はウクライナ戦争と安倍元首相の銃撃事件という、まさに「瓶のふた」が取れたような衝撃的な出来事によって規定される1年となってしまった。世界では20世紀の遺物であるかのように考えられてきた国民国家間の全面戦争が実際に起きたことで、これまでの秩序やグローバル化に対する盲信が根底から揺らぐ一方で、日本では首相退任後も日本政界の最高権力者の座にとどまり続けていた元首相が、何と手製の銃によって暗殺されてしまった。2022年はどのような年として歴史に刻まれることになるのだろうか。  ただし、ウクライナ戦争にしても、安倍元首相の暗殺にしても、それが何を意味しているかについての合意がいまだに存在しない。ウクライナ戦争はロシアの独裁者であるプーチン大統領が独断で仕掛けた戦争であることは間違いないが、だとしてもそもそも彼が何のために、これほど多くの犠牲を生んでまで戦争を続けているのかを明確に説明できる人はおそらく誰もいない。マル激でもさまざまな専門家を招き、それこそNATOの東方拡大脅威説からロシア民族主義説にいたるまで何度かその説明を試みてはみたが、どの専門家からも明確な答えは得られなかった。  安倍氏の暗殺も、その意味が十分説明されたとは言い難い。犯人の動機に統一教会に対する恨みがあったことが判明すると、社会の関心は統一教会一色に染まった。確かに多くの被害者を生み続けてきた統一教会を放置してきたことは大問題だ。しかし、最高政治権力者の暗殺という歴史的な重大事件を統一教会問題だけで終わらせてしまってはならない。  安倍氏は現在の日本が丸ごと乗っかっている「安倍政治」という一つの時代を作った人物でもあり、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更など、良くも悪くも安倍氏の元で日本は大きく歴史の舵を切っている。その安倍氏が突如として亡くなったことで、今日本には権力の空白が生じている。今後、その空白に何が入ってくるのかを、われわれは細心の注意を払ってウオッチしていかなければならない。  一歩まちがえば第三次世界大戦になりかねない戦争の意味や、最高権力者が暗殺されたことの意味ですら、合意形成が難しくなっているのだ。個々の政策や社会問題でコンセンサスを築いていくことは容易ではない。しかし、だとしても今の日本には説明がつかないことが多すぎる。  なぜ未だに、解雇規制によって手厚く保護された正社員と使い捨ての非正規労働者なるものが存在しているのか。日本の子育て支援や教育支援の公共支出が先進国で最低レベルのままなのはなぜか。住民税の税金の5割が返礼品と運営費に消えてしまうふるさと納税なる制度が、未だに大手を振って存在しているのはなぜなのか。ありとあらゆる不条理を抱えながらなぜ日米地位協定は一切改正できないのか。アメリカから言われたら自動的に防衛費を倍増しそれを増税で賄うのか等々。これからもわれわれが問い続けていかなければならない課題は多い。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ 今週の論点 ・何を意味しているのか、いまだに合意が存在しないウクライナ戦争と米議会襲撃事件 ・自立した国家になるためのチャンスを逃してきた日本 ・安倍元首相銃撃事件が問うもの ・社会という荒野を仲間と生きるために +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ■ 何を意味しているのか、いまだに合意が存在しないウクライナ戦争と米議会襲撃事件 神保: こんにちは。今日は2022年12月27日の火曜日、これが1134回目のマル激となります。今年最後のマル激となりますが、ここ数年、一年の最後のマル激は公開収録をして、その様子を公開していました。今年も12月3日に公開収録が予定されていましたが、宮台さんが襲われる事件があり今年は延期となったので、久しぶりに「2人マル激」となりました。  宮台さんも話したいことがいろいろあるでしょうから、今回はテーマを決めずにフリートークでいきたいと思います。まずは何から話していきましょうか。 宮台: 今年、国外ではウクライナ戦争が大きかったし、国内では安倍元首相銃撃が一番大きな出来事でしたよね。ものすごく象徴的なことだったので、後から見たとき、2022年は特筆すべき年として記憶されるのだろうと思います。それにもかかわらず、ウクライナ戦争の背景、あるいは安倍元首相の銃撃についての意味などについては、「こういうものなのだ」という規定ができていません。 神保: 2022年に全面軍事侵攻が本当に起きてしまったことや、現役の政治家としての最高権力者であった安倍晋三さんが銃で撃たれて命を落としたこと。これらは事態があまりにも大きすぎるために意味の規定が難しいのか、あるいはあれだけ大きなことですら合意形成ができない世の中になっているのか、その点はどうですか。 宮台: 議会乱入事件やその他をめぐるトランプの刑事訴追に向けた準備など、アメリカの動きは特に象徴的だと思います。以前、前嶋和弘さんを交えてキャンセルカルチャーの話をしましたが、今の構造は30年以上前にはそういうふうになりうると予言されていました。

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