中国外交を「戦狼外交」と呼ぶことは、習近平の対外政策を誤解させている。その陰に隠れた中国の強かさをかえって見えなくさせてしまうからだ。
20大(中国共産党第20回全国代表大会)後に「権力を強化」し、「ブレーキ役を排除した」政権の危険性の強調も同じだ。
行き着く先は「独裁者の暴走」となるのだが、そんな単純な話はどこにもない。むしろ日本が警戒しなければならないのは、中国の修正力である。
20大で党中央政治局委員に昇格した王毅外相(国務委員)が発表した「2023年の中国の特色ある大国外交の6大任務」(=以下、6大任務)からはそれが読み取れる。
6大任務のなかで王毅は、「中米関係の修正と正しい進路への回帰を目指し、中国EU関係の安定した持続的な発展を推進し、周辺諸国との友好・相互信頼と利益の融合を深め、発展途上国の団結と協力を強化する」ことを打ち出している。また「中露の包括的・戦略的協力パートナーシップを揺るぎないものに」することにも言及しているので、要するに全方位だ。
習指導部がこうした選択をする背景には、ASEANの存在が大きい。
2022年を「内政の一年」と位置付けてきた中国は、20大後、一気に外交に力点を移した。そして、この2カ月余の動きから見えてくるのは、「対立の解消」への努力だった。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)