メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

【Vol.464】冷泉彰彦のプリンストン通信『下院議長選バトルと共和党の闇』

冷泉彰彦のプリンストン通信
「日米2つの怪事件、捜査と防止への教訓」  2022年12月末、クリスマスの日に埼玉県飯能市で起きた一家殺害事件 には、大変に驚かされました。この事件については、過去のトラブル、具体的 には自家用車を傷つける器物損壊事件について、容疑者があくまで否認したた めに何度も通報があったにもかかわらず、逮捕は一回だけでそれも不起訴にな っているとして、法制度の不備が悲劇を招いたという見方があります。  この事件ですが、とにかく容疑者は「完全黙秘」の構えで一貫しており、こ れに加えて、一言だけ罪状の「否認」もしているようです。「完黙+否認」と いうセットで、とにかく起訴されても公判まで乗り切るつもりなのかは分かり ませんが、捜査当局としては最も重要な動機の解明に、非常に苦労しているの が現状と思います。  可能性としては、事件の犠牲となった長女の方に対して容疑者が一方的に好 意を抱いて、拒絶されると最悪のストーカーに化けていったというストーリ ー、あるいは、日米の多国籍で経済的にも安定していそうな一家に対して一方 的に嫉妬と怨恨を募らせたストーリー、更にはトラブルの途中経過で、文化の 違いからコメントを誤解して怨恨を抱いたなどのストーリーもありそうです。  ただ、映画監督をやっていた(完成作品はないにしても)インテリで、物静 かな人物ということと、そうしたストーカーや嫉妬による怨恨というのは、簡 単には結びつかないものを感じます。  可能性としては、小数点以下の非常に少ないパーセンテージとは思います が、容疑者と長女の方は相思相愛だが、両親が絶対に認めなかったので拡大心 中を図ったが、女性の名誉を守るために全部の罪をかぶって男性だけ生存した などというストーリーも完全には排除はできません。何しろ映画監督志望のイ ンテリですから、衝動的な怨恨の積み重ねでここまでの犯行に至るのかは、そ う簡単に決めつけることはできないようにも思います。  一方で、時期的には少し先になりますが、アメリカでも謎だらけの殺人事件 が発生して、連日報道されています。他でもない、アイダホ州で学生4人が殺 害された事件です。この事件は11月13日に発生以来、1ヶ月以上未解決で 全米の注目を集めていました。  とにかく、殺されたアイダホ大学の学生4名には、特に人間関係のトラブル があったわけでもなく、事件の物証も限られており、事件の起きたコミュニテ ィも、突然子どもを奪われた親たちも、ひたすら困惑していたのでした。  ところが、年末の12月30日になってこの4人の殺害に関連しているとし て、警察が28歳の大学院博士課程の学生ブライアン・クリストファー・コー バーガーを逮捕。全米を驚愕させたのでした。(続く)

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 冷泉彰彦のプリンストン通信
  • アメリカ北東部のプリンストンからの「定点観測」です。テーマは2つ、 「アメリカでの文脈」をお伝えする。 「日本を少し離れて」見つめる。 この2つを内に秘めながら、政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けします。 定点観測を名乗る以上、できるだけブレのないディスカッションを続けていきたいと考えます。そのためにも、私に質問のある方はメルマガに記載のアドレスにご返信ください。メルマガ内公開でお答えしてゆきます。但し、必ずしも全ての質問に答えられるわけではありませんのでご了承ください。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎月 第1火曜日・第2火曜日・第3火曜日・第4火曜日