「異次元の無能首相にきっこからの提案」
「アベノミクスの失敗」を隠すために、日銀の黒田東彦総裁が当初の「2年間」という公約を完全に無視して強行し続けて来た「異次元の金融緩和」がようやく終わると思ったのも束の間、今度は岸田文雄首相が4日の記者会見で「異次元の少子化対策」などと言い始めました。それも「異次元の少子化対策を行ないます」と断言したのならともかく、なんと「異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代から『ようやく政府が本気になった』と思って頂ける構造を実現すべく、大胆に検討を進めてもらいます」って、またまた「検討」&「丸投げ」です。
さすがにコレにはネット上でもお茶を噴き出す人が続出し、「異次元の少子化対策って、もしかして二次元の彼女まで『子ども』として数えるのか?」だの「異次元の少子化対策って、成人年齢を60歳に引き上げて、59歳までの国民を全員『子ども』と見なすのか?」だのと、まるで大喜利状態になってしまいました。さらには、8日放送のTBS『サンデー・ジャポン』に出演したモデルでタレントの藤田ニコルさんも「この言葉を聞いた時に『えっ?』ってなっちゃって。今まで本気じゃなかったんだって、絶望しちゃったというか‥‥」と呆れていました。
岸田首相は、この「異次元の少子化対策」の基本方針として、「児童手当など経済的支援の強化」「子育てサービスの強化」「働き方改革の推進」の3本柱を挙げましたが、これらは今までさんざんやって来たことで、何ひとつ目新しいものはありません。さらには、具体策もゼロで財源にも言及せず、ただ単に「異次元の少子化対策」というインパクトのある看板を掲げただけなのです。その証拠に、この「異次元の少子化対策」の具体的な内容については、子ども家庭庁に指示して「これから決める」と言うのです。
思い起こせば一昨年10月の就任会見でも、岸田首相は「新しい資本主義」という看板を掲げましたが、あの時も具体的な内容はいっさい口にせず、「成長と分配の好循環」という抽象的なお題目を壊れたボイスレコーダーのように繰り返すだけでした。そして、それでも一部の記者が「具体的な内容は?」としつこく食い下がると、こともあろうに岸田首相は「具体的な内容は『新しい資本主義実現会議』を発足してこれから決めて行きます」と抜かしたのです。そして、1年以上が過ぎた今も、国民の誰ひとりとして「新しい資本主義」が一体何なのか、まったく分からないままなのです。
「新しい資本主義」しかり「異次元の少子化対策」しかり、具体的な内容など何ひとつ決まっていないのに、取りあえずインパクトのある看板だけ掲げて「やる気感」や「やってる感」をアピールし、内容は後から考えるって、国民をバカにするにもホドがあります。さらに言えば、この「新しい資本主義」は安倍晋三元首相の「新しい判断」の二番煎じ、「異次元の少子化対策」は日銀の黒田総裁の「異次元の金融緩和」の二番煎じで、ネーミングにすらオリジナリティーのカケラもありません。
そして、そもそもの話としても、少子化うんぬんを語る前に、まずは「今の子どもたち」を救うのが先でしょう。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の子どもの貧困率は13.5%、100人のうち13.5人の子ども、つまり、7人に1人の子どもが貧困なのです。これは世界平均の12.8%よりも下で、世界ワースト21位なのです。その上、シングルマザーなどの「ひとり親世帯」だけを見た場合には、世界平均が33%なのに対して、日本は何と52%、半数以上の世帯の子どもが貧困で、これは韓国、ブラジルに次いで世界ワースト3位なのです。
1日3食を食べられない子どもがこんなにたくさんいるのに、この子どもたちへの手当てを何もせずに少子化対策だけしても、不幸な子どもが増えるだけです。2012年までの民主党政権下ではゼロだった「子ども食堂」が、安倍政権下の8年弱で全国に5000カ所以上も作られ、その後の菅政権でも岸田政権でも増え続け、とうとう6000カ所を超えてしまいました。あたしも毎週木曜日に、近所のお寺がやっている「子ども食堂」のお手伝いに行っていますが、子どもと一緒に食事に来た若いママさんたちは、皆さん口をそろえて「職業の男女格差」と「物価高」と「高すぎる光熱費」に苦しんでいると言います。
中でもあたしがショックを受けたのは、小学生の子ども2人をパートの掛け持ちで育てている30代のママさんの話でした。昨年の秋、そのママさんが2人の子どもを連れてお寺の「子ども食堂」に初めて来た日、子どもたちは夢中で食べていたのですが、ママさんはお箸を持ったままポロポロと泣き始めたのです。あたしが声を掛けると、「ゆうべは1つのカップ焼きそばを子どもたちに半分ずつ食べさせて、自分は我慢した。子どもたちがたくさん食べているのを見たら涙が止まらなくなった」と言うのです。
新型コロナ前までは、中堅の衣料メーカーで正社員として働いていて生活に困ることはなかったが、新型コロナで解雇され、どんなに努力しても正規雇用の口が見つからない。仕方なくパートを掛け持ちして休まずに働き続けているが、収入は以前の半分になり、そこに物価高と光熱費の高騰の追い打ち、とうとう子どもたちに満足な食事も作ってやれなくなった‥‥と泣きながら打ち明けてくれました。今では仲良しになり、帰りにはお土産のおにぎりを渡すようになりましたが、今の日本には、こういうシングルマザーが数えきれないほどいるのです。
帝国データバンクによると、昨年2022年の食品の値上は2万品目を超え、その平均値上げ率は14%を超えています。また、今年もすでに7000品目の食品の値上が予定されています。あたしがお手伝いしている「子ども食堂」では、複数の農家から形が悪くて出荷できない野菜などを無償で提供してもらって利用させていただいていますが、スーパーなどで普通に食材を買っている人たちは本当に苦労していると思います。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)