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【Vol.366】「日本人の知らないタイムズスクエア新年カウントダウンの舞台裏」

NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明
2023.1.10 Vol. 366 1. 「日本人の知らないタイムズスクエア新年カウントダウンの舞台裏」 遅ればせながら、みなさま新年明けましておめでとうございます。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。 、、、、この国に住んでいると、明けて1週間経つのに「おめでとうございます」と挨拶するのも違和感があります。 アメリカはご存知の通り、三賀日、という概念自体、ない。驚くほどありません。 さすがに元旦はホリデー扱いで会社も学校も休みですが、2日から通常営業です。むしろ世界はそっちの方が多い気がします。 新年明けてスタートダッシュ!しなきゃいけないのに、いきなり3日間お休みなの!?と驚かれるのは日本かもしれない。 日本にとってのお正月休みに代わるこの国のホリデーは、11月のサンクスギビングかもしれません。この収穫祭は4連休。都市部に出ているアメリカ人は一斉に故郷に里帰りします。で、テレビでニューヨークのサンクスギビングパレードを見る。デッカいキャラクターの風船がダイダラボッチばりに、ゆっくりのっそり何体もマンハッタンの街中を空中移動するだけのパレード。それを家族と一緒に見るホリデーが日本のお正月休みに匹敵するのではないか。それがあるので、年明け3日も休んでる場合じゃない。 ちなみに日本の年末年始に見る地上波のテレビの特番みたいなのも、この国は基本ないです。日本の年末年始ってテレビだけでも面白いよね〜。こっちはない。さすがにメジャー放送局は年明けくらいタイムズスクエアカウントダウンをLIVE中継したりしますが、それ以外の局は、30分のシットコム(シチュエーション・コメディ。かる〜い乗りのドラマ)の、しかも再放送を流したりしています。本当です。年またぎの地上波で、数年前のドラマ、しかも30分の、しかも暇つぶしで見るようなクオリティーの「フレンズ」とかを平気でやってます。 それはつまり、多種多様な民族で構成される移民国家だからこそ、全員に趣味趣向を合わせられない文化なのかもしれません。最大公約数的な結論が「フレンズ」。 で、その、世界中の人間があらゆるバックボーンを持って集まるこの街で「新年くらいは、人種も国籍も超えて、みんなで盛大にお祝いしようぜ♪」と始まったのが毎年恒例のタイムズスクエアのニューイヤーカウントダウンです。全世界のテレビで生中継される一大イベントに集まる人は100万人とも200万人とも言われます。どうして倍も違うかというと、集計しようがないから。箱(会場)があるわけではない。碁盤の目のマンハッタンの縦、横、斜め、それぞれの一番大きな通りが交差する、最も賑やかな交差点で行うカウントダウンは、どこからどこまでの人を参加者、と数えていいかわからない。とおーくから、その一端を目に焼き付けて雰囲気だけを楽しむ人も当然、数えきれないほどいます。とにかくこの大晦日世界最大のイベントに、人生一度は実際に体験してほしいと僕は思っています。 というのは、僕にとって新年のタイムズスクエアカウントダウンはあまりに特別な思い入れがあるからです。 観光客だらけで、本物のニューヨーカーはこの中にいないと言われ、一年でも一番寒い時期の極寒の中、ただの数を数えて年を迎えるだけのイベントに、なぜ、おそらく人類史上最多の15回も足を運んでいるのか。 23年前に遡ります。 大阪で専門学校の講師をしていた頃でした。当時は結婚もしていて、仕事も順調で、幼少期からの憧れの地、ニューヨークで暮らすという夢も忘れていた時でした。忘れようとしていた時、でした。 そんなある日、歯医者に行った時のことです。待合所のソファで、置いてある雑誌を何気なくめくっていると、ひとつの特集記事に目がとまりました。「ミレニアム、あなたはどこで迎える!?」といったような企画記事でした。そこには半年後の、来たる2000年を世界のどこで迎えるか、世界中のカウントダウン名所が綺麗な写真で掲載されていました。シドニーのオペラハウス、エジプトのピラミッド、日本は奈良か東大寺の大仏だったかと思います。 その瞬間、「世紀が変わっても、またここで同じことをしているんだろうか」と愕然としました。そして、それは当時の僕には何より恐いことでした。ページを捲るたび、忘れかけていた憧れの地への想いが蘇ってきました。その特集記事の巻頭ページは、当然のごとくタイムズスクエアでした。 その頃からタイムズスクエアで新年を迎える、ということ自体が僕にとっては特別な意味を持ちました。やはり人生一度はここの真ん中で新年を迎えたいー、と。、、、まさか、15回13年連続でしかも関係者席ど真ん中で迎え続けるとは当時は思ってもいなかったけれど。 なので、この仕事をする前も、当然、一般人としてカウントダウンに行ったことはあります。渡米して最初のカウントダウンにもあたりまえのように行きました。数時間前に行っても、中央、7番街とブロードウェイと42丁目の交差点からはほど遠い、9番街と50丁目あたりで交通規制に捕まった。テレビで見る真ん中あたりに行くには、そこから何個もの張り巡らされているブロックを掻い潜らなくてはいけません。こ

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  • 全米発刊の邦字新聞「WEEKLY Biz」の発行人、高橋克明です。新聞紙面上や、「アメリカ部門」「マスコミ部門」でランキング1位になったブログでは伝えきれないニューヨークの最新事情、ハリウッドスターとのインタビューの裏側など、“ イマ”のアメリカをお伝えします。
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