第245号(2023年1月13日号)
『最後の調停官 島田久仁彦の無敵の交渉・コミュニケーション術』
はじめに:
いつもメルマガをお読みいただきありがとうございます。
さて、今週号の内容ですが、まず【1】の
『無敵の交渉・コミュニケーション術』のコーナーでは、
先週に引き続き交渉術が上達してくると陥りやすい問題の一つである
【Anchoring Bias】についてお話しします。
その注目の内容は、本編をお楽しみに♪
次に国際情勢ですが、今週は大きく分けて3点あります。
一つ目は【世界経済の分断への道程】です。
昨年2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、
欧米諸国とその仲間たちはロシアを国際経済および金融から締め出すことを目的とした制裁を課しました。
ロシア産の原油の輸入を実質的に停止し、
欧州各国の生命線とも言える天然ガスについては上限価格を設ける動きを見せています。
天然ガスについては、アメリカが欧州に対してLNGを供給することで何とかロシア依存を低減させようとしていますが、
今年の冬は乗り切れても、永久的に代替できるものではないことが明らかになりました。
食糧も黒海における船舶の航行への危険性から滞っており、世界中で穀物を中心とした供給危機と価格の高騰を招いています。
ウクライナからの安価な農産物に依存していたアフリカ諸国やアジア諸国は、
コロナによる経済不振と合わせて、さらなる経済的な危機に直面することとなりました。
そのような中、ロシアとの取引を成立させ、エネルギー資源や食料の物流のセンターになったのがインドとトルコです。
トルコはロシアからのエネルギー資源の輸入は増えましたが、ロシアへの物資の供給によって大きな利益を得ました。
インドに至っては、ロシアから安価で原油・天然ガスを引き取り、
それを国内で精製して価格に若干の上乗せをして転売するという方法で利益を得ています。
中にはロシアに制裁を課している欧米諸国とその仲間たちの企業もおり、実質的な制裁の穴となっています。
そのインドが、ロシアとイランの協力の下、欧州迂回(スエズ運河迂回)の物流網(南北回廊)実現のカギを握っています。
インドが取る第3極的な立ち位置からすると、欧米各国を怒らせるような手段に打って出ることはないと思われますが、
もし南北回廊が実現する場合には、国際経済は分断を鮮明にし、
同時に欧米が握っていた経済・物流ハブとしてのパワーを削ぐことになります。
今後も目が離せません。
二つ目は【激化と膠着を繰り返すウクライナ戦争の行方】です。
1月7日のロシア正教のクリスマスを機にロシア側が一方的にクリスマス停戦を呼びかけましたが、
結局、停戦は行われず、ロシア・ウクライナ双方で多くの血が流されました。
東部では激しい攻防が続き、ウクライナ全土はロシアからのミサイル攻撃に晒され、国民生活の破壊が継続しています。
寒さと飢えに耐えるウクライナ国民と、徹底的にインフラと補給路を断つロシア、
そして際限なくロシアに抵抗するウクライナ軍。
戦闘は膠着状態と思われますが、そのような中、今月中にもキーフ攻撃を含む大規模攻撃がロシアによって行われるのではないか
との分析が出てきました。
米英仏が急遽、追加的な軍事支援を行うことで合意していますが
(ドイツはショルツ首相が戦車の提供に言及したものの実現の見込みは低いと思われます)、
ロシアからの大規模攻撃までに間に合うかは微妙なようです。
ロシアはベラルーシ国内に20万人、ロシア・ウクライナ国境に30万人超を終結させ、
精密兵器も導入した攻撃準備を敷いていると言われていますが、総司令官を再度変更し、
スロビキン総司令官を副司令官に据える人事をするなど、その狙いがなかなか見えない状況です。
そのような中、“ある時点”での現状でロシア・ウクライナ間の線引きを行うことで停戦を行うという案が
浮上しているとの情報も入ってきていますが、これは東部・南部、そしてクリミア半島という、
すでにロシアがある程度、コントロールを固めているウクライナ領を戦果としてアピールするという企てだと見られています。
今月の戦線の動きにも要注目です。
三つ目は、ウクライナ情勢とは別ですが、【エルドアン大統領の企てと焦り―外交的取引で復権を狙うトルコ】についてです。
これについては、【2-国際情勢の裏側】のコーナーでお話しします。
今回のメルマガも長くなりましたが、どうぞ最後までお付き合いくださいね。
それでは今週号、スタートします★
【取り扱うテーマ】
1. 今日からすぐに使える無敵の交渉・コミュニケーション術
2. 国際情勢の裏側
3. 書籍紹介&相談コーナー
4. お知らせ:テレビ出演や講演会のご案内etc.
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