池田清彦のやせ我慢日記
/ 2023年1月13日発行 /Vol.231
INDEX
【1】やせ我慢日記~私が新型コロナのワクチンを2回しか打たなかった理由~
【2】生物学もの知り帖~トキソプラズマに感染したオオカミはどうなるのか?~
【3】Q&A
【4】お知らせ
『私が新型コロナのワクチンを2回しか打たなかった理由』
私は去年の初夏に新型コロナワクチンを2度打って以来、ワクチンの接種をしていない。知り合いには4回も5回も接種をしている人もいて、なぜ打たないのかと聞かれることもある。私はテレビをほとんど全く見ないし、新聞も取っていない(デジタルの新聞は購読している)。大手メディアの情報を鵜呑みにしないで、自分で精査してみると、ワクチンを打て打てと言って煽っている報道は、かなり怪しいと思えて来た。
新型コロナは、日本では2020年の1月から流行り出して、現在第8波である。変異しやすいウイルスで、第1波(2020年1月~6月)は武漢株、第2波(20年7月~9月)ベータ株、第3波(20年10月~21年2月)ガンマ株、第4波(21年3月~6月)アルファ株、第5波(21年7月~21年12月)デルタ株、第6波(22年1月~22年6月)オミクロン株BA1・2、第7波(22年7月~9月)オミクロン株BA5と、流行の株が目まぐるしく変異している。今はまだ、日本ではBA5が主流だが、アメリカではオミクロン株の変異型XBB1.5が主流になってきており、日本でもそのうち置き換わるだろう。
病原性ウイルスの例にもれず、感染力は強くなっているが、悪性度は低下しており、感染者数は増大しても、致死率はずいぶんと低下した。例えば、埼玉県が公表している県内のデータによれば、20年2月1日~6月9日までの年齢別の感染者の死亡率は70歳未満(男2.7%、女0.6%)、70代(男14.8%、女11.4%)、80代(男52.5%、女21.6%)90代(男66.7%、女21.7%)だったものが、22年10月6日~12月17日では70歳未満(男女とも0.1%未満)、70代(男0.6%、女0.1%)、80代(男1.4%、女0.8%)、90代(男2.7%、女1.7%)となっており、志村けんさんが亡くなった頃に比べれば、もはや若い人はほとんど死亡せず、老人の死亡率も30分の1程度に下がっている。
私がワクチンを打った頃は、ワクチンの効果は90%以上と喧伝されていた。ネガティブな情報はまだ余り出ておらず、私自身も多少の効果はあると思っていた。ワクチンは武漢株から作ったmRNAワクチンで、当時流行っていたアルファ株にも多少は有効だと思っていた。というのは変異したウイルスのスパイクタンパク質(細胞の膜に存在するACE2という受容体に刺さってここからウイルスが細胞に感染する)は10個未満で、まだ効きそうだったからだ。
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