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現在の『世界同時インフレ不況』を各国が乗り越えることができるか否かの鍵はやはり、MMTの正確な理解にある(前半)

藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~
昨今の「インフレ」が訪れる様になってから、MMTは間違っていた、MMTは役に立たない等のMMT批判が目立つようになりましたが、そういう指摘は全てMMTについての「浅い理解」や「単なる誤解」に基づく不当で稚拙な批判に過ぎません。なぜそう言えるのか……それを昨日今日と改めて文章にしましたので、取りいそぎ、このメルマガ上で前半後半の形でご紹介したいと思います。それでは今日はまずは、その前半を、以下にご紹介差し上げたいと思います。 …… 当方は学者の一人としてMMT=現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)を紹介する書籍を出したり、海外からMMTの研究者の教授達を招集してセミナーを開催したり動画配信をしたりして参りました。そんな中でケルトン教授を招聘した折りには、MMTがプチブームの様になり賛成だ反対だと喧しい議論が巻き起こったりしました。 しかし今やそのブームも去り、MMTが余り話題に上らなくなったようなのですが、ここ最近、またぞろ「MMT」の文字を、「批判的」な文脈で目にする様になりました。 例えば、(筆者が編集長を務める雑誌・表現者クライテリオンへの寄稿をしばしば依頼している)哲学者の仲正氏は、『コロナとウクライナ、2つの危機で露呈した「MMTの弱点」』でおおよそ次の様な指摘をしています。 1)コロナで需要不足になり「デフレ基調」=「経済衰退基調」になり、各国はMMTが主張する様に「政府支出拡大」を行い、「需要」を徹底した。 2)それで一定各国の成長率は持ち直したが、丁度その頃にウクライナ戦争が起こり、エネルギーと食糧の「供給不足」が生じ、今度は「インフレ基調」となり、各国経済は苦しい状況になった。このインフレ〝不況〟を抑え込むためには、MMTならば、「増税」など野緊縮財政が必要となるが、それをすれば、コロナ禍から回復しきっていない経済に更なるダメージを与えることになり、それはできない。つまり、この状況に対してMMTは回答を提供することができない。 以上が、仲正氏の議論なのですが、この仲正氏の議論は概ね正しいと言うことができます。 しかし、仲正氏の議論には一点だけ、MMTについての誤解が潜んでいると言わざるを得ません。

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