---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
岸田首相”唯一の”レガシー 原発再活用の虚構 「原発回帰は歴代政権が手が出せなかった」 原発燃料、結局はロシア頼み
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
岸田政権が2021年末にまとめた脱炭素社会の実現に向けた基本方針は、既存原発の60年超の運転や建て替えなどの原発推進政策が中心となった。
岸田文雄首相といえば、首相就任前から、一貫して原発推進の立場をとってきた。東日本大震災前の2008年には、「日本原子力学会誌」で、
「原子力発電は、エネルギー安定供給の確保に貢献できるとともに、二酸化炭素を発電過程で排出せず、ライフサイクル全体で比較しても、単位発電当たりの排出量が石油火力の3%弱であり、地球温暖化対策としても有効な手段です。」(1)
と述べる。
しかしながら、原発の「活用策」ばかりが目立ち、「トイレなきマンション」とも呼ばれる原発の放射性廃棄物の後始末には具体的政策がない。
政府が2021年に策定したエネルギー政策の中期的な指針である「エネルギー基本計画」では、原発について、
「可能な限り依存度を低減する」
と明記。だが、今回出された基本指針では、
「脱炭素電源として最大限活用する」
とされ、原発への低減依存度の言葉は記されなかった。また、脱炭素社会の実現に向けて、
「あらゆる選択肢を追求する」
とすることで、原発の建て替えの道も残した。
目次
・「原発回帰は歴代政権が手が出せなかった」岸田政権のレガシーへ官邸官僚動く
・課題山積み 核のごみ 次世代型原発 原発建て替え余力なし
・原発燃料、結局はロシア頼み
・「原発回帰は歴代政権が手が出せなかった」岸田政権のレガシーへ官邸官僚動く
とはいえ、岸田首相も当初は、原発政策について「いつかやればいいよな」と周囲に語る程度で、それほど思い入れは強くなかったという説もある(2)。
そのような首相の思いを徐々に変えていったのが2人の官邸官僚。嶋田隆首相秘書官と荒井勝吾首相秘書官だ(3)。
元経済産業省事務次官で政務を担当する筆頭秘書官の嶋田氏は、原発事故後に東京電力取締役に出向した経験があり、同じく経産省出身の荒井氏も原発推進派の立場。
今回の原発政策転換を盛り込んだ脱炭素化の基本方針についても、官邸官僚主導で作成。
「原発回帰は歴代政権が手を出さなかった分野。岸田政権のレガシー(政治的遺産)になる」(4)
このような官邸官僚の思惑とともに、岸田首相は原発回帰へと動いた。昨年はロシアのウクライナ侵攻ともない、日本を含め、世界中がエネルギー危機に直面。
また経産省も、もともと、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという政府目標を達成するには、原発の活用が不可欠との認識が強かった。
さらに脱炭素戦略の枠組みの中で原発政策を議論することは、原発の建て替えや新増設への批判を極力避けたいという首相の思惑も絡んだ(5)。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)