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【痛くない死に方 2023年第2号】 ワクチン・ヤコブ病のこと、どこまでわかっていますか?

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2023/01/14
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2023年 第2号 【長尾和宏の「痛くない死に方」】 長尾和宏です。あっという間に1月が半分過ぎようとしています。早いね。 正月明け早々だが、相変わらず、知人の「突然の訃報」が絶えない。 僕は、夕刊フジで長年「ニッポン臨終図巻」という、有名人の訃報をめぐるエッセイを 書いていることから、新聞のおくやみ欄に目を通すことが多くなった。 夕刊フジといういわゆる「おやじメディア」である特性上、書きたいけれども、 その読者層にあまり知られていないという理由で書けない著名人もいる。 たとえばこの人、渡辺京二氏の訃報がそうだ。 ・・・以下、共同通信社 昨年12月25日の記事から・・・・・・・・・・・・・・ 作家の故石牟礼道子さんの活動を支えた日本近代史家の渡辺京二氏が25日、老衰のため 熊本市の自宅で死去した。92歳。京都市出身。(中略) 1965年に熊本で雑誌「熊本風土記」を発刊し石牟礼さんの「苦海浄土」の初稿を掲載した。 日本にとっての「近代」をテーマとした「逝きし世の面影」で2000年に和辻哲郎文化賞を 受賞。そのほか「北一輝」で毎日出版文化賞、「黒船前夜」で大仏次郎賞を受賞した。 また石牟礼さんらと「水俣病を告発する会」を立ち上げるなどして水俣病患者と共闘した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 詩人であり作家、そして「水俣病闘争のジャンヌ・ダルク」といわれた石牟礼道子さんの ことは皆さんもご存知であろう。2018年2月に石牟礼さんは90歳で亡くなっている。 この石牟礼道子さんを「発見」したのが、渡辺さんであった。 「苦楽浄土」という日本の文学史に刻まれる水俣を描いた作品。命の文学と呼ぶにふさわ しいこの作品は、渡辺さんなしには生まれなかった。 僕はこの「苦楽浄土」を読んで、「悶え神」(もだえがみ)という言葉を知った。 これは、石牟礼さんが作った言葉ではなく、水俣の人々が自然発生的に使っていた言葉の ようだ。他人の肉体的・身体的な辛さ、哀しみ、不幸せを自分の事のように感じ、なんと かしたいと一緒に悶える人のことを。「悶え神さん」と水俣地域では呼ぶという。 その人を治すことができなくても、あるいは経済的な手助けができなくとも、その人と 一緒に身悶えて、辛さや悲しみを共有することはできる。そのとき、ケアするひとは、 「悶え神」となる。なんと深い言葉なのだと感動した記憶がある。 石牟礼さんは、水俣の人たちを取材しながら、自身が「悶え神」となって苦楽浄土を 書いた。同時期に、水俣闘争に深くかかわり、必然のように石牟礼さんと出会ったこと からその執筆に生涯寄り添い、石牟礼さんにとっての「悶え神」として生きたのが、渡辺 さんだったように僕は思う。 AさんがBさんの悶え神に。CさんがAさんの悶え神に……それが本来のケア社会だ。 渡辺さんは石牟礼さんの編集者、伴走者であっただけではなく、日本近代史家として自身 が数冊の著作を発表し、過去の「名もなき者」たちに眼差しを注ぎ取材を続けられていた。 以下は、2018年小学館「サライ」に載ったインタビューより抜粋させていただく。 〈水俣問題とは、はじめは距離を置いていたのです。環境問題は、近代化の過程で必ず起

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  • 長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 本邦初!100パーセント「死」のことについて語るメルマガ。2000人以上を看取った医師であり、日本尊厳死協会副理事として、日々「死」と向き合う医師と一緒に、死に方について考えませんか? 家族の死と向き合わなければならない人、大切な人が死んで、喪失感から抜け出せない人、今、どうしようもなく「死にたい」人も……あなたのこころに届くメッセージが満載です。
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