■60歳からの40年をどう生きるか
「人生100年時代」と言われて久しい。ただ、長生きできても、
寝たきりになったり、認知症になったりして介護の必要が生じたら
苦痛だ。実際は、そういう人が非常に多い。
理由は、日本人は介護につながる病気の罹患率が高いからだ。また
高度に衣料が発達しているため、生き延びることはできても、その
分病気を抱えながら長生きしているのが現実なのだ。
大事なことは、老化のスピードを遅らせて健康寿命を延ばし「元気
に歳を重ねる」ことだ。身体機能や生理機能の低下のスピードは、
人によって違う。自分で制御し、遅らせることはできる。
寿命の約75%は、食事や運動、生活スタイルなど「習慣」で決ま
る。これらを見直すことで、老化のスピードを制御することは誰に
でも十分可能なのだ。
医師が老化度を診断する時チェックするのは、血管年齢、脳・神経
機能、ホルモンの分泌、骨年齢、筋肉量の5つだ。これらにアプロ
ーチすることで老化を遅らせる習慣を紹介する、
★
まず、ふだんの食生活では「満腹まで食べない」ことだ。健康長寿
を目指す上で大事だ。満腹まで食べなければカロリー摂取が制限さ
れる。
カロリーを制限すると、体にある「サーチュイン」という物質の中
の長寿遺伝子が活性化する。この遺伝子は、血管の老化を防ぐな
ど、細胞の老化抑制に非常に重要な働きをしている。
また、満腹まで食べなければ、糖質や脂質の摂取を抑制できる。糖
質の過剰摂取は血糖値を上げる。血中の過剰な糖質は、血管にダメ
ージを与え、糖尿病など様々な生活習慣病を引き起こす。
また、糖質を過剰に摂取すると、悪玉コレステロールや中性脂肪が
血中に蓄積していく。悪玉コレステロールは血管にゴミをためて動
脈硬化のリスクを高め、中性脂肪は内臓脂肪に変わっていく。
★
「満腹まで食べない」と心がけても、食欲に負けてしまうものだ。
無理せず食事量を減らすには工夫が必要だ。まず、ひと口30回噛
むことだ。
人が満腹を感じるのは、胃腸から脳にサインが送られるからだ。そ
れは食べ始めてから20分以上後だ。噛む回数を30回にすれば、
食べるスピードがゆっくりになるから食べ過ぎを防ぐのだ。
食材を大きめに切ったり、固めに調理したり、歯応えのある食材を
取り入れれば、噛む回数は増やせる。咀嚼が増えれば、唾液が出て
消化がスムーズになる。脳も活性化して認知症予防にもなる。
これらを実践して、無理せず「満腹まで食べない」習慣を身につけ
ることだ。体に良い食材を食べることも大切だが、まずはここから
スタートだ。すぐに体は軽くなり、快調になるはずだ。
★
イワシ・サバなどの青魚を摂ることだ。青魚のEPAには抗血小板
作用、すなわち血液サラサラ作用がある。これは、血管の健康を保
つから動脈硬化予防に有効なのだ。
病気になる前から、イワシやサバなどの青魚を積極的に食べるよう
にすれば、血液中のEPAの量が増え、動脈硬化を予防することが
できる。
EPAは、血管の老化を抑止するだけでなく、紫外線による肌の老化
予防にも力を発揮する。皮膚の中のコラーゲン成分の老化が、EPA
で抑えられることがわかっている。
また、青魚を食べれば、同時にDHAも摂取できる。これは脳機能
を高める成分だ。魚の摂取量が多いほど認知症になるリスクが低く
なるのだ。
青魚が苦手な人は、サプリメントで上手に摂取することだ。EPA
やDHAのサプリメントは充実している。食事で補えないなら、こ
れらで補えばいいのだ。
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