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【Vol.339】「北カリフォルニア紀行(2)」

NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明
Vol. 339 1/30/2023 「北カリフォルニア紀行(2)」 先週からの続き。。。 午後からはサンフランシスコからわざわざアムトラックに乗ってきてくれる友人と会うことになっています。 “友人”というとすごく違和感を持ちます。確かに血のつながりはないし、恋人でも、兄弟姉妹でもない。仕事仲間でもない。いや、実際、彼女とは一緒に仕事をしていました、20年近く。彼女は僕と妻と同世代であり、この仕事の同期でもなり、同僚でもあり、独立した際、真っ先についてきてくれた最初の部下でもありました。妻とも姉妹同然で、家族ぐるみでの付き合いです。結婚式にも当然、参列してくれ、彼女の結婚式のウィットネスに指名され、子供が生まれた日に最初に病院に来てくれた。 親族が日本にしかいないうちの子供たちにとって、親族以上に叔母的な存在。結婚して、数年前からサンフランシスコで暮らしている。サンフランシスコからアムトラックに乗って3時間。ニューヨークにもちょくちょく来るし、僕の日本出張と彼女の里帰りが重なったら日本で食事もするので、今回、わざわざ来る必要もないだろう。身近すぎて逆に「おまえ、なにしに来たんだよ」とつい毒づく。あきちゃん(妻)に連絡 もらったから、みきとひでとに会いたいし、と。「なにより、こんなこともないと一生、来ないしね、サクラメント」確かに。うちの双子は「きょーちゃああん!」とテンション爆上がり。ここがサクラメントで、叔母がサンフランシスコから来たとか、そういうことも一切、わかってない模様。 娘の「どうしてもラーメンが食べたい」の希望通り、RAMEN店に。やっぱり、ここがサクラメントとか、一切、わかってない模様。 ネットで調べ、割とスコアのいい「RAMEN店」に行く。といっても、もちろん日本のラーメン屋さんの半分の美味しさで、倍の価格。美味しい、美味しくないの前に、アメリカのRAMENは、日本のソレと比べると、まず温度が1度〜2度低いらしい。「すする」文化のない国民に火傷させない対策とどこかで聞いたことがある。だとして、それでも、ハンバーガーよりはマシだ。日本円で2500円以上するラーメンを食す。5人で小皿も含め15000円也。たまになら、この価格もひとつのネタだけれど、在住の僕たちは、毎食この価格帯です。 そのまま車で約1時間、サクラメント唯一の観光名所(といったら怒られるかもだけれど)旧市街地へ。「オールド・サクラメント」と呼ばれるこのエリアはカリフォルニア発祥の地。開拓時代、ゴールドラッシュを目指した男たちが巨大な富を手にしようとやってきた町です。サクラメントリバーとアメリカンリバーの合流地点。全世界共通、貿易の拠点になる川や海のエリアに人が集まり、街ができます。 建物や街並みが当時のままなのは、当時のままのように修復しているのか、本当に当時のままなのかはわからない。ただ当時の150年前のままなわけはなく、やっぱり観光地化して、当時の雰囲気をあえて町ぐるみで作っている感じです。京都の太秦みたいなもんかな。だとして古い建物の1階にはお土産屋、Tシャツ店やアイスクリーム店など、お決まりの観光地風景が広がる。クラッシックなアメリカンな街並みに面して、ギフトショップが並び「鬼滅の刃」や「ワンピース」グッズが売られている。全米、いや、全世界、日本のアニメは浸透している。あたりまえのようにそこにある。 ベニエ専門店の看板が目に入った途端、息子のテンション爆上がり。引きつけ起こすんじゃねえか、ってくらいに興奮しています。ベニエはバカみたいに甘い四角いドーナッツ。穴は空いてない代わりに、砂糖が本体を隠すほどかけられています。ただでさえ激甘の上に更にシュガー。揚げてることも加味すると、おそらく「全世界身体に悪いフード・ランキング」ベスト10内に入るのではないか、といった代物です。 日頃なるべくシュガー禁止の我が家で育てられている我が息子は、甘いものに対しての執着が逆に強くなっている気がする。逆効果教育。血こそ繋がりのない叔母が、そこで口を挟む。「旅行の時くらいいいじゃん。私が払うからひでとに食べさせたい」さらに叔母人気が上がる中、入店。美味しそうにベニエを食べる我が双子をみて、つっこみます。「それ、ニューオリンズの名物だ!」サクラメントと何の関係もない。実際、息子がベニエにハマったのも、3年前のニューオリンズ旅行の時でした。でも、久しぶりのベニエ(Beignet)は思いのほか、美味しかった。やっぱりアメリカは身体に悪そうな食べ物が美味しい。 オールドサクラメントには、博物館やガイド付きのウォーキング・ツアーもあります。港の船には宿泊施設も兼用しているものもあり、クルーズツアーも季節によってはある。観光客を意識した街。そして、歴史的な蒸気機関車が最も目を惹きました。 夕日の中、家族と過ごすゆったりとした“楽しすぎない”時間は、あまりに贅沢。ニューヨークでは味わえない。街の速度から違う、明らかに普段の暮らしとは異世界。なんの変哲もないアメリカの国内旅行が大好きな理由です。これがヨーロッパやアジアなら刺激がありすぎて、忙しい。ニューヨークやロンドン、東京のような大都市だと、ゆっくりするのがもったいない。逆に、僕はTHE リゾート地が苦手、です。家内は、ビーチでゆっくりする時間が好きですが、僕はどうも落ち着かない。一時期、フロリダのオーランド、マイアミなどお正月に行きまくっていましたが、今考えると無理していた気がします。青い空、波の音、カモメの鳴き声、ゆったりとした時間、うーん、、、、帰りたい。そう思ってました。 特別に刺激的“すぎない”アメリカ国内旅行。今回のサクラメントみたいな街。僕にはいちばんリラックスできる場所なのかもしれません。最古の鉄道駅に佇む、ゴールデンタイム。

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  • NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明
  • 全米発刊の邦字新聞「WEEKLY Biz」の発行人、高橋克明です。新聞紙面上や、「アメリカ部門」「マスコミ部門」でランキング1位になったブログでは伝えきれないニューヨークの最新事情、ハリウッドスターとのインタビューの裏側など、“ イマ”のアメリカをお伝えします。
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