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2023年1月23日:現代のメディア論(2) 文章論
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著者:システムズリサーチ:吉田繁治
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われわれは、直接経験の外の領域についての情報は、メディアから得
ています。直接経験は、世界の80億人のそれぞれに固有です。子供の
直接経験も、親とは違うものです。
【直接経験は個人のもの】
24時間、同じものを見て、同じように考える人は、生活時間が長い家
族にもいません。人間の経験は孤独なものであり、言葉を通じてしか、
他人に伝えることはできません。
ある時間にグレン・グールドやリヒテルが演奏したバッハを聴いた経
験は、個人のものです。夫婦や恋人と一緒に聞いても、その演奏で聴
いたことからの経験が、言葉になる感想は違うものです。
【言葉によるコミュニケ―ション】
人間は感想を述べ合います。専門的には、優れた聴き手だった吉田秀
和のような音楽評論になります。根拠を述べて論理化したコミュニ
ケーションが評論でしょう。
同じ文章ではあっても、個人の直接経験を知人や友人に伝える手紙と
評論は性格が違います。個人宛にメールで送る、このメールマガジン
は「手紙+評論」でしょう。多くが見知らない人への手紙であること
も意識しながら、毎回、書いています。
言葉は相手とのコミュニケーションを図るものです。木に向かってし
ゃべり続ける人は、たぶんいない。しかし、仏像には呪文を唱えます。
この言葉は「神と考える偶像への祈り」でしょう。
イスラム教は、神から言葉を預かったとされている預言者キリストと
使徒の肖像画を生んだキリスト教と違い、神の偶像や絵を禁じていま
す。このため、意味がない紋様のアラベスクが発達しました。アルハ
ンブラ宮殿は、岩波文庫の唐草模様のようにしか見えない、アラベス
クだらけです。
個人の観念や思いのコミュケーションは、言葉で行います。適切な言
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