「私立中学進学は『娯楽』なのか?」
西村博之氏は、ABEMAでの出演やツイートを通じて、東京都の私立中学校
への進学に対して、授業料を助成するという案に反対したようです。具体的に
は、「私立に行くのは娯楽なので、自腹で行けと思います」と断言したと報じ
られています。
例によって、西村氏の話芸のネタにされると、無駄な対立エネルギーが空回
りして社会的には意思決定へのコスパが悪化してしまうのですが、その辺を別
にして考えれば至極正論だと思います。
東京都内の場合、中学入試が年々激化しています。近年では、昔はヤンキー
女子校だった学校を共学化するとともに、塾関係者や文部行政関係者の天下り
などとセットで、校名をリブランドして国際教育のクラスを作ったりすると、
ビジネスとして成功するという方程式があるようです。そんな新しい戦略も含
めて、中高一貫校はどんどん人気化しているわけです。
何が問題かは、明らかです。小学校3年生ぐらいから塾通いをさせないと一
流といわれる学校には入れないケースが多い中では、資金力がモノを言うし、
そうなると、格差の世襲化が進行し、その結果としてエリート層の貴族化と保
守化が進行して、国家が蝕まれてしまうからです。
とにかく、中学までは義務教育ですし、高校も法制上は無償化されているわ
けです。義務とか無償というのは、「タダだから最低レベルでいい」というの
ではありません。スポーツを真剣にやりたい、音楽を専門的に学びたいという
のと同じように、サイエンスや数学を専門的に極めたいという生徒の要望を満
たすことも、義務とか無償ということに入っているはずです。
例えばですが、コロナやインフルのワクチンの場合は、無償(インフルは例
外もありますし、5類になるとコロナも怪しいですが)だからといって、中身
は生理食塩水だなどということは、あり得ないわけです。無償であっても、最
新技術を駆使したmRNAワクチンが提供されるのは当たり前です。
にもかかわらず、教育の場合で考えると、公立の特に中学の場合は、都区内
の学校で考えると、昔よりは多少はマシになっている地区もあるものの、最先
端の学習ができないどころか、通学が「危険」という場合もあるわけです。
例えば、学区によっては反社系の家庭の子どもが、中学生の段階から麻薬や
暴力の逸脱行為に引き込まれていたりします。そうした生徒の更生までを教育
に求めるのは酷かもしれません。ですが、そうした生徒を引き離して、真面目
に勉強したい生徒にキチンとした、つまり安全な環境と学習機会を与えるとい
うことについて、保護者の信任がゼロとなっているわけです。
これは大変なことです。(続く)
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