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第200号 大嘘だらけの施政方針演説/4Gガラケー狂騒曲/嚔/きっこの老婆心

きっこのメルマガ
  • 2023/01/25
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「大嘘だらけの施政方針演説」 1月23日、吉田照美さんの72歳の誕生日を記念して、第211回通常国会が召集され、午後からの衆院本会議で、岸田文雄首相による施政方針演説が行なわれました。1月4日の伊勢神宮での年頭記者会見では、「異次元の少子化対策に挑戦し、若い世代から『ようやく政府が本気になった』と思って頂ける構造を実現すべく、大胆に検討を進めてもらいます」という噴飯物の初笑いを届けてくれましたが、今度はどんなギャグで笑わせてくれるのか、あたしはラジオにかじりついて聴いていました。 すると岸田首相は、新年早々に飼い主のバイデン大統領に肩を抱いてもらってご機嫌だったのか、ショッパナからものすごいパンチを炸裂させてくれたのです。ちょっと長めに引用しますが、頭の悪そうなスピーチライターが、岸田首相のリクエストをすべて盛り込んで作成した無理のあり過ぎる名文をじっくりと味わってください。 「政治とは、慎重な議論と検討を積み重ね、その上に決断し、その決断について国会の場に集まった国民の代表が議論をし、最終的に実行に移す、そうした営みです。私は、多くの皆様の御協力のもと、様々な議論を通じて、慎重の上にも慎重を期して検討し、それに基づいて決断した政府の方針や、決断を形にした予算案、法律案について、この国会の場において、国民の前で正々堂々議論をし、実行に移してまいります。検討も決断も、そして議論も、全て重要であり必要です。それらに等しく全力で取り組むことで、信頼と共感の政治を本年も進めてまいります」 この文章からハッキリと読み取れることは、岸田首相は「検討ばかりしているだけで、決断力も実行力もない検討使」と揶揄されたことを相当、気にしていると言うことです。そして、昨年の臨時国会の閉会後、年末のドサクサに紛れて「安保関連3文書改定」を閣議決定し、国民に1ミリも説明せずに飼い主のバイデン大統領に報告に行ったことを、必死に正当化しようとしていると言うことです。 それにしても笑っちゃうのが、最後の「信頼と共感の政治を本年も進めてまいります」の「本年も」の部分です。この「本年も」は「昨年に引き続き本年も」という意味ですが、昨年1年間、「信頼と共感の政治」を行なって来たと言うのであれば、どうしてその内閣の支持率が27%しかないんですか?(笑) ま、こういう文脈上の揚げ足取りはともかくとして、肝心の政策の部分に大嘘が連発されていました。あたしが一番驚いたのは、「防衛力の抜本的強化」について述べた項目の最後、次の一節です。 「今回の決断は、日本の安全保障政策の大転換ですが、憲法、国際法の範囲内で行なうものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての我が国としての歩みを、いささかも変えるものではないということを改めて明確に申し上げたいと思います」 まず、岸田首相は自ら「日本の安全保障政策の大転換」などと言いましたが、そんな重要なことを、国民に説明せず、国会で議論も行なわず、国会の閉会後にコッソリと閣議決定するなんて、安倍晋三元首相による「集団的自衛権の行使」と同様に、民主主義を根底から覆す独裁政治ではありませんか。そして、「憲法、国際法の範囲内で行うものであり」以降は、すべて大嘘ではありませんか。 岸田首相が勝手に改定した「安保関連3文書」には、「敵基地攻撃能力」だの「自衛隊の中に米軍と共同の統括司令部を設置」だのと、完全に憲法違反の項目が並んでいます。日本国憲法第2章「戦争の放棄」、俗に言う「第9条」には、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記されています。 しかし岸田首相は、今回の演説の中で「まず優先されるべきは積極的な外交の展開です。同時に、外交には裏付けとなる防衛力が必要です」と述べ、そのために「5年間で43兆円の防衛予算を確保し、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力の保有を進める」と述べました。また、先日の訪米の際のワシントンでの会見では、「防衛力を抜本的に強化するとは、端的に言うのならば、戦闘機やミサイルを購入するということです」と述べています。 つまり、増税してまでアメリカから大人買いするトマホークミサイルや欠陥戦闘機を大量に配備することで、「敵対国を威嚇して攻撃を思いとどまらせる」という話です。これって、憲法第9条に「永久にこれを放棄する」と明記されている「武力による威嚇」ではありませんか。その上、「自衛隊の中に米軍と共同の統括司令部を設置」するのですから、自衛隊は米軍の司令官の指揮下となり、アメリカが始めた戦争に、米軍の下部組織として駆り出されることになるのです。これも第9条に「永久にこれを放棄する」と明記されている「戦争」や「武力の行使」に該当します。そして、これだけでも大問題なのに、その財源については、次のように述べたのです。 「そのためには、令和9年度以降、裏付けとなる毎年度4兆円の新たな安定財源が追加的に必要となります。歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保などの行財政改革の努力を最大限行なった上で、それでも足りない約4分の1については、将来世代に先送りすることなく、令和9年度に向けて、今を生きる我々が将来世代への責任として対応してまいります」 どうして岸田首相は、「それでも足りない約4分の1については、将来世代に先送りすることなく、増税で対応します」と言わないのでしょうか?新年早々、あたしたちを爆笑させてくれた「異次元の少子化対策」についても、岸田首相は「こども・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題です」と述べ、今回、アレやコレやと政策を羅列しました。しかし、それらをすべて概算すると約10兆円もの予算が必要なのですが、岸田首相は財源については触れずじまい。 財源に触れずに政策だけを羅列するなら、どんなことだって言えちゃいます。どう考えたって何かしらの増税をしなきゃ予算が作れないのに、口が裂けても「増税で対応します」とは言いませんでした。4月の統一地方選と5月の広島サミットが終わるまでは、「増税」の「ぞ」の字も口にしないという固い決意が垣間見られた、無責任極まりない演説でした。 それにしても岸田首相、1月4日の会見での「異次元の少子化対策」というフレーズが爆笑の渦を巻き起こしたことをけっこう気にしているようで、今回は「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したいと思います」という言い回しに変更しました。でも、どんな看板に掛け変えようが、どれほど政策を羅列しようが、所詮は実行力ゼロの「検討使」です。何しろ、こんなことを述べたのですから。 「検討に当たって、何よりも優先されるべきは当事者の声です。まずは私自身、全国各地で、こども・子育ての当事者であるお父さん、お母さん、子育てサービスの現場の方、若い世代の方々の意見を徹底的にお伺いするところから始めます」って、そこからかーーーーい!つーか、岸田首相は1年前の昨年1月17日の施政方針演説で、「少子化対策やこども政策を積極的に進めて行くことは喫緊の課題です」と述べているのです。それなのに、1年後の今になって「まずは私自身、全国の当事者の意見をお伺いするところから始めます」って、自分で「喫緊の課題」と言っておきながら、この1年間、何もしなかったってことじゃん! ‥‥そんなわけで、他にもツッコミを入れたい発言は山ほどありますが、

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