「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」
vol.42「GReeeeNと歩んだコロナ禍 〜『それってキセキ』再出版までの物語〜」
【今週の目次】
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1. 成美のつぶやき
└ 自らを縁の下の「力無し」と自負する校正者
└ 表には決して出ることのない校正者の存在
└「積極的な受け身」にやりがいを見出した校正界のスター
└ 言葉の守り手として人知れず言葉を磨いていく
2. GReeeeNと歩んだコロナ禍 〜『それってキセキ』再出版までの物語〜
└ 絶版からの再出版。出版の裏にあった想いとは?
└コロナ禍でも貫いたGReeeeN流の作品づくり
└コロナ禍で〇〇が大好きになった!?
└ ワンピース・尾田さんと夢のコラボが実現した2022年のライブ
└『星影のエール』誕生のキセキ
3. 新企画!小松成美の心に残る、あのフレーズ
4. お知らせ
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1. 成美のつぶやき
みなさま、こんにちは。
酷寒の季節となりましたが、お元気でお過ごしでしょうか?年末年始の慌ただしさがひと段落し、本格的な一年が始まったのを感じられている方も多いでしょう。
今回の私のつぶやきは、2023年1月13日午後10:00から放送された、NHKの人気ドキュメンタリーシリーズ、「プロフェッショナル 仕事の流儀 縁の下の幸福論 〜校正者・大西寿男〜」の放送回についてお話したいと思います。
自らを縁の下の「力無し」と自負する校正者
「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、超一流のプロフェッショナルに密着し、その仕事を徹底的に掘り下げるドキュメンタリー番組です。2006年1月の放送開始以来、イチローさん(メジャーリーガー)、吉永小百合さん(映画俳優)、新津春子さん(清掃員)、高倉健さん(映画俳優)、石川佳純さん(卓球選手)、宇多田ヒカルさん(シンガーソングライター)、くまモンさん(地方公務員)、羽生善治さん(棋士)など、時代の最先端で格闘する姿を見つめてきました。
NHK公式サイトより転載
校正・校閲という、まさに縁の下の力持ちと言われるような仕事があるのをご存知でしょうか?
原稿の完成にはなくてはならない仕事です。
2023年1月13日午後10:00から放送された、NHKの人気ドキュメンタリーシリーズ、「プロフェッショナル 仕事の流儀 縁の下の幸福論 〜校正者・大西寿男〜」の放送回では、大西寿男さんという校正・校閲のプロフェッショナル、校正者としての仕事への思い、出版社、編集者、作家とのつながりを描いていました。
大西さんは、自らのことを縁の下の「力無し」と話します。
縁の下で作家を支えることは、プライドや誇り、自信もありますが、自分がやっている仕事には何の決定権もなく、できることも限られています。それに対する自負、自己憐憫のような校正者の思いが「縁の下の力なし」にあらわれています。
この45分のドキュメンタリーが本当に素晴らしくて、私の日頃の校正者への感謝や尊敬の念と合わせて、ぜひ皆さんにもお伝えしようと思いました。
「縁の下の幸福論 〜校正者・大西寿男〜」 - プロフェッショナル 仕事の流儀
公式サイトには、こうあります。
書籍や雑誌など、出版物に記されたことばを一言一句チェックし改善策を提案する校正者。並みいる作家や編集者から絶大な信頼を受けるのが、大西寿男(60)。『陸王』や『推し、燃ゆ』など話題となった数々の作品を支えてきた。柔らかな雰囲気ながら、ひとたびゲラと向き合うとまばたきも忘れ、ことばの海に潜り込む。小さな部屋で人知れず1文字の価値を守り続けてきた半生。大西と迷い込んだ、豊かで奥深い、ことばたちの世界。
表には決して出ることのない校正者の存在
私が最初に単行本を出版してからおよそ30年が過ぎました。これまで、単行本と文庫本合わせて50冊の書籍を出版しています。
その全てで大西さんのような校正者のお世話になって完成しています。ところが、作家と校正者は直接会うことはありません。校正者の名前を知ることもないのです。
作家の伴奏者にはまず編集者がいます。そのほとんどが出版社の社員です。文藝春秋、新潮社、講談社、幻冬舎など各出版社には担当編集者がいて、作家とともに本の出版を目指します。
作家が描きたいテーマをともに練り上げ、実際に書かれた原稿を読んで感想を述べたり、アドバイスをしたり、時には「もっとこうした方が良くなると思う」など、文章について直接的な助言をしたりします。
いよいよ原稿が出来上がった後に、校正者に原稿を託す日がきます。
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