■3つの気質
人間の悩みの80%は人間関係だ。それは時代が進化しても変わら
ない。なぜなら大半の人は、仲間という人の中で共存するからだ。
人生とは人と生きることなのだ。
相手を知って成長し、自分が磨かれていくのも、人とのかかわりの
中から学びが生まれるからだ。それでも分かり合えずに苦しんだ
り、言葉の表現で誤解や嫌な思いをしたりもする。
人間関係の行き違いの大半が、コミュニケーションねらーから生じ
ている。その悩みで人生の大切な時間を奪われている。大事なこと
は相手に合った、相手のための言葉を選ぶことなのだ。
人間関係で悩むのは、相手や相手と自分との違いがわからないから
だ。相手の性格、行動パターン、コミュニケーションのクセなどが
わかれば、想定内で対応でき、ストレスは減るはずだ。
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人の性格は、生まれながら持つ「気質」と、後天的な生育環境から
育まれる「人格」で形成される。気質が中心の核で、その周りを取
り囲むように人格の膜が後から覆っていく。
さらに、人の性格の土台となる気質を詳しく見ていくと、大きく3
つに分かれている。すなわち「理論型」「感覚型」「行動型」の3
つだ。
1つ目の理論型とは、思考を重視する気質タイプだ。何事にも「な
ぜ?」と理由を聞きたがる。理由を知って納得してから動こうとす
る傾向がある。
自分で考えて、段取りをし、準備が整ってから行動したい気質だ。
行動を促されたり、急かされたりするのは苦手だ。知的表現や言い
回しを好み、分析的態度を取る。終わったことより未来を考える。
2つ目の感覚型は、感覚や気分で動く気質タイプだ。感覚型の人は
好き嫌いがハッキリしていて、人情深く、情に流されやすく、人に
気をつかいがちだ。
また、理論型の人が未来を考えるのに対して、感情型の人は過去を
重視する。「あの時、ああすれば良かった」などと反省しがちなの
も感覚型気質の特徴だ。
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3つ目の行動型は、初動のスピードが早く、とにかく動いてみた
い、やってみてから考えたいという体験重視の気質だ。物事を合理
的に見てムダを嫌うので、結論が見えない長い話が苦手だ。
未来・過去でいうと、先々の予定、過去の反省を考えるより、今こ
の瞬間に集中しがちだ。計画はまず目の前のことを片づけてから考
える。今の自分に必要がないものは躊躇なく捨てることができる。
この3つの気質は、親からの遺伝とは無関係だ。そのため、兄弟姉
妹でも気質は全然違うこともあるし、親と子で全然違うことも大い
にある。
まずは、土台となるこの3つの気質を知ることだ。パートナーシッ
プ、会社の人間関係、子育てに理解が深められる。またビジネスで
のセールスやクレーム対応などにも適切に対応できるようになる。
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異なる気質の人と接すると、互いに違和感を持つが、自分とは違う
タイプの人がいることを知れば許容できる。意見が合わない時は、
互いを尊重して、それぞれの特性の良さを引き出すこともできる。
使いがちな「口グセ」からタイプがわかる。理論型の人は説明が長
く、感覚型の人は言語化が苦手で感覚的表現を好み、行動型の人は
主語を忘れたり省いたり、話が長いと聞かないなどのクセがある。
代表的な口グセは、理論型は「つまり、要するに」「深掘りする
と」など、感覚型は「ピンときた」「上手く言えないけど」、行動
型は「結論は?」「まず行動」「考えてもムダ」などだ。
直接口に出すとカドが立つので、口にしないまま済ませていること
もある。だが、切羽詰まった時やプライベートでリラックスしてい
る時などには、気質そのままの言葉が口に出やすくなるものだ。
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