メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

週刊Life is beautiful 2023年1月31日号:日本に中距離弾道ミサイルが配備される時代

週刊 Life is beautiful
今週のざっくばらん Tesla Roof (3) 12月に設置は完了したものの、期待した通りの出力が出なかった Tesla Roof ですが、ようやく期待していた通りの出力が得られるようになりました。結論から言えば、太陽光パネル側の配線が一部間違っており、それが原因でインバーター(太陽光パネルが作った直流の電流を、家で使えるような交流の電流に変換する装置)がエラーを起こしていたようで、その部分のパネルを一度剥がして設置し直すことにより、その問題が解決できました。 Tesla Roofの設置は、ハワイでTeslaの公認インストーラーをしているRising Sunという会社にお願いしたのですが、ハワイ島でTesla Roofを設置するのは初めてということもあり、なかなか問題が解決できず、最終的には別の島からTesla Roofをインストールした経験がある人が来てくれて、ようやく解決してくれました。Tesla Roofは新しい技術なので、リスクがあるとは思っていましたが、ハラハラドキドキでした。 設置したシステムのアーキテクチャを下に貼り付けておきます。 屋根に組み込まれたソーラーパネルは、全部で42.8kW分ありますが、大きく5つのセクションに分けられて、5つのインバーターと繋がっています。Teslaは、インバーターとして、7.6kWのものと3.8kWのものを用意していますが、私の家の場合は、7.6kWが4つと、3.8kWが1つで、合計で 34.2kW です。 ソーラーパネルの出力が合計で42.8kWなのに、インバーターが34.2kWというのは不思議に思うかも知れませんが(私も最初はそう思いました)、ソーラーパネルの出力は、直射日光を直角に当てた場合の最大の出力なので、実際に屋根に設置した時にはその出力を得ることは出来ません。そこで、パネルの向きや太陽の高さを考慮した上で、必要な容量だけを持つインバーターを設置するのが一般的です。私の家の場合、良い出力が得られる南西向きだけでなく、北や東にもパネルを設置したので、それに応じてインバーターの大きさを決めたのです。 インバーターが交流の変換した電流を受け取り、それを蓄電池(Powerwall)、電源網、家の電源パネルの間でどう分配するかを決めるのがゲートウェイという装置ですが、我が家の場合、システムが大きいため、一つのゲートウェイでは捌ききれず、AとBの二つのゲートウェイに分けて処理しています。結果として、ゲートウェイAの方には、3つのインバーターと4つの蓄電池が、ゲートウェイBの方には2つのインバーターと2つの蓄電池が繋がっており、それぞれ家の主電源と、プール側の電源(プールとジャグジーを温めるためのヒートポンプの電源)に繋がっています。 こんな構造になっているため、システムAで余った電力をシステムB側で使うなどの柔軟な使いかたが出来ないのが難点です。ここ1週間ほどの結果を見ると、システムAが余った電力(約23kWh)を電力網に売り、システムBが約5kWhを電力網から買う、という状況になっています。電力料金は、それらを合計したものになるので、相殺されて、電力料金は実質無料になるはずです。 ちなみに、夏場誰もいない時には、かなり電力が余ることになるので、それを電力会社に売ることになりますが、ハワイの電力会社側の買取価格は、販売価格の3分の1ぐらいなので、あまり賢い使いかたではありません。テキサス州で始めたように、Teslaがバーチャル発電所ビジネスをハワイ州でも始めてくれたら、是非とも参加したいと考えていますが、いつになるか分かりません。冗談抜きで、余った電力で、ビットコインのマイニングでもすると良いのかも知れません。 日本に中距離弾道ミサイルが配備される時代 先日行われた日米首脳会談で、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の大量購入をお土産に大歓迎された岸田首相ですが(バイデン氏「あなたは真の友人」、岸田首相を自ら出迎え昼食会も…日本の防衛力強化を歓迎)、F35の爆買いを約束した安倍首相がトランプ大統領に大歓迎された時の構図(トランプを喜ばせた「F35爆買い」 コスト総額は6兆7000億円!)ととても良く似ています。 しかし、今回のお土産はそれだけではなかったようです。読売新聞の、「日本への中距離ミサイル配備、米が見送りへ…「反撃能力」導入で不要と判断 : 読売新聞オンライン」によると、対中国で、莫大な予算をかけて中距離弾道ミサイルのアジアへの配備を計画していましたが、日本政府が米国の代わりに配備してくれることが決まったため、その計画を見送ることにした、とのことです。 調べてみると、米国は、日本を含めたアジアの国々を射程にいれた中距離弾道ミサイルを大量に配備している中国に対抗するために、自分達も中距離弾道ミサイルをアジアに配備しようと計画していましたが、今以上に中国との緊張状態を高めたくない、自国を標的にしたくないという、(日本も含めた)同盟国からミサイルの配備の許可が降りないために、配備が出来ないというジレンマに陥っていたそうです(U.S. wants to surround China with missiles -- but can’t find Asian country to host them)。 今回の岸田政権による閣議決定は、そのジレンマを解決するだけでなく、中距離弾道ミサイルの配備コストを日本が負担するという、米国にとってはとてつもなく良い話なのです。議会から予算の承認が降りずに困っているバイデンが喜ぶのは当然で、ホワイトハウスの前まで岸田首相を迎えに出て当然なのです。 当初は、米国によるミサイルの配備にすら何色を示していた日本が、なぜ掌を返したように、場所だけでなく、配備コストまで負担すると決めたのかは不明ですが、一つのヒントは、ジャパンハンドラーと呼ばれるCSISにより書かれたメモにあります(Japan’s Transformational National Security Strategy)。 このメモは、去年の12月16日の閣議決定の8日前に書かれたメモにも関わらず、 Later this month Japan will announce new national security and defense strategies that will shatter policy norms in place for much of the period since World War II. Tokyo is poised to unveil plans to nearly double defense spending over the next five years, discarding the informal 1 percent of GDP cap that has been in place since 1976. It will set out plans to acquire long-range precision-strike cruise missiles, capable of hitting targets well inside North Korean or Chinese territory, loosening the postwar constraint on military power projection. (今月末、日本は新しい安全保障・防衛戦略を発表する。 それは、第二次世界大戦以降の政策規範を打ち砕くものである。東京は、1976年以来実施されてきた非公式なGDPの1%という上限を破棄し、今後5年間で防衛費をほぼ倍増させる計画を発表する予定である。また、北朝鮮や中国の領土のかなり内側を攻撃できる長距離精密攻撃巡航ミサイルを取得する計画を打ち出し、戦後の軍事力投射の制約を緩和する予定である。) と岸田政権による閣議決定の内容を正確に明記しており、CSISがこの戦略の策定に直接的に関わっていたことが分かります。 ちなみに、2009年まで、米国は年次改革要望書という公式文書を使って、日本政府に対するさらざまな要望を突きつけてきましたが、鳩山政権がその制度を破棄してしまったため、その後はCSISを通じて、日本政府に対して要望を出すようになりました。自民党の政策と酷似していると言われる「アーミテージ・ナイ報告書」はその典型的な例で、集団自衛権、武器の輸出の解禁、特定秘密保護法など安倍政権時代に作られた法律の多くが、このメモに基づいて(つまり、CSISを通した米国の指示通りに)作られたものです。 自民党政権が、なぜ米国の要望をこれほどまでに忠実に実行するかについては諸説ありますが、やはり長期政権の維持のためには、米国政府から政権を支持してもらうことが何よりも大切であり、CSISがそのパイプ作りに大きな役割を果たしている、と解釈して良いと思います。

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 週刊 Life is beautiful
  • 「エンジニアのための経営学講座」を中心としたゼミ形式のメルマガ。世界に通用するエンジニアになるためには、今、何を勉強すべきか、どんな時間の過ごし方をすべきか。毎週火曜日発行。連載:菅首相に会って来た/米国で起業する時に知っておかねばならないこと。
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎週 火曜日(年末年始を除く)