メルマガ読むならアプリが便利
アプリで開く

[高野孟のTHE JOURNAL:Vol.585]「台湾有事」切迫説の張本人が岸田政権を“激励”に

高野孟のTHE JOURNAL
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 高野孟のTHE JOURNAL Vol.585 2023.1.30                  ※毎週月曜日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《目次》 【1】《INSIDER No.1191》 「台湾有事」切迫説の張本人が岸田政権を“激励”に/ デビッドソン前米インド太平洋軍司令官の来日 【2】《CONFAB No.551》 閑中忙話(1月22日~28日) 【3】《FLASH No.499》 岸田首相の施政方針演説からは国民に伝わってくるもの が何もない/日刊ゲンダイ1月26日付「永田町の裏を読 む」から転載 ■■INSIDER No.1191 23/01/30 ■■■■■■■■■ 「台湾有事」切迫説の張本人が岸田政権を“激励”に/ デビッドソン前米インド太平洋軍司令官の来日 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  フィリップ・デビッドソンと言えば、米インド太平洋 司令官からの退任を目前にした2021年3月に米上院軍事 委員会の公聴会で中国の台湾侵攻について問われ、「こ の10年以内、実際には今後6年以内にその脅威が現実化 すると思う」と発言し、今日に至る「台湾有事」切迫説 の氾濫のきっかけを作った人物である。  退役後は在ワシントンの笹川平和財団諮問委員となっ ている彼が、このほど来日、自民党の外交部会などの合 同会合で24日に講演し、またその前後に幾つかの日本の メディアと会見するなどして、相変わらず「台湾有事 『27年まで』に現実味」(26日付日経の見出し)などと 煽り立てている。  台湾有事説は、米日の軍事的タカ派の側で前々から 散々言われてきたことではあるが、2年前のデビッドソ ンの公聴会発言は、「この10年以内、実際には6年以内 に」と年限を挿入していたため、極めて現実味のある予 測であるかに受け取られ、これを後付けするような発言 や報道が沸き立って大いに話題となった。日本で最も敏 感に反応したのは、首相を降板して7カ月余、敵基地攻 撃能力や核シェアリングなどこれまでの常識を超えたそ れこそ異次元の軍事力増強の道を先導しようと燃え上が っていた安倍晋三元首相で、さっそく麻生太郎副総理と 語らって、このデビットソン情勢判断を基調として採用 することで一気に日本の防衛タブー破りを決行すること にした。今の岸田政権の軍拡路線はまさにその流れに抗 い難い中で転がり出していることである。この路線を大 いに激励し、後戻りできなくさせることが、彼の来日の 目的であるに違いない。  ところが、そもそものこのデビッドソン発言は、前後 の文脈を含めて全文公開されていない。その公聴会で は、最初にデビッドソンがインド太平洋司令部の任務全 般について文書を読み上げて報告し、然る後に口頭によ る質疑が行われた。前者は米上院軍事委員会のサイトで 今も公開されているが、後者は非公開で、どこからか漏 れ伝わる格好で上述の「この10年以内、実際には今後6 年以内にその〔中国の台湾侵攻の〕脅威が現実化すると 思う」という印象的な一句だけが報道され、それが独り 歩きして増幅されることになった。 ●「中国に覇権を奪われる」という恐怖感

この続きを見るには

この記事は約 NaN 分で読めます( NaN 文字 / 画像 NaN 枚)
これはバックナンバーです
  • シェアする
まぐまぐリーダーアプリ ダウンロードはこちら
  • 高野孟のTHE JOURNAL
  • 政治経済から21世紀型ライフスタイルまで、タブーなきメディア《THE JOURNAL》が、“あなたの知らないニュース”をお届けします!
  • 880円 / 月(税込)
  • 毎週 月曜日