第40話 偶然の再会
夜の世界に入ってから数ヶ月が経ったある日のことだった。
「あいっ、みっちゃんじゃない?」
突然後ろから声をかけられた。
みつおのことをみっちゃんと呼ぶのは子供の頃や学生時代の友達である。
振り返ると
「あい、さとしー、何してる?」
沖縄のお決まりの会話が始まった。
沖縄の人は街で知り合いに会うと「何してる?」と尋ねるのがお決まりである。
「俺は今から店に出勤するところよ、みっちゃんは何してるの?」
「俺もお店に出勤、えっ?さとしもスナックでボーイしているの?」
「そうそう、スナック純子って所で働いてるよ、みっちゃんは?」
「俺はここ、五番街」
目の前の店を指差した。
「偶然だな、今度飲みに行こう」
「おっけー」
さとしとは同じ工業高校だった。
彼は電子科で機械科よりもエリートの科だったが、アルバイトでファーストフードで働いていたときに気が合い、二人でコンビを組んでみんなを笑わせていた仲だった。
みつおは店の開店準備をしながら、昔を思い出していた。
高校三年生の夏、最後のサッカーの試合が終わったあと、みつおはサッカー部を引退してすぐにアルバイトをはじめた。
最初は同じクラスの友達に誘われてトンカツ屋のバイトだった。
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