IMFは厳しい見通し
習氏は強烈リアリスト
衰退責任は誰にあるか
人口減が中華再興阻む
習近平・中国国家主席にとって、3年間のゼロコロナは時間の空費であった。中国の「国威」を守るために、効かないワクチンに拘り都市封鎖という無益なことに忙殺されたのだ。意地を張らずに欧米製ワクチンを導入していれば、貴重な3年間を有効に使えたであろう。具体的には、不動産バブルの処理や急激な出生減を緩和させられたからだ。
現実には、これと真反対のことが起こり、中国経済の減速スピードを加速させる事態を招いている。2022年には、人口減社会へ突入した。国連の推計によれば、人口減は2031年と見られてきた。9年も繰り上がったのである。出生率の急減が理由である。
人口減社会到来が、9年間も繰り上がったことで、中国の「経済的寿命」を縮めたと言えよう。GDP成長率が、それだけ早く低下するからだ。もっとはっきり言えば、人口減社会の繰り上げによって、「中華の夢」が遠ざかったのである。この認識が、習氏にあるかどうかが問われている。習氏は、「中華の夢」を焦った結果、不動産バブルを引き起し、ゼロコロナがダメ押しとなって、逆回転を招いたのである。なんとも皮肉な結末だ。
IMFは厳しい見通し
IMF(国際通貨基金)は、中国の苦境を見透かすように、中国の中期経済見通しを発表した。それによると、驚くべきことに2026年から4%割れ成長時代を迎えると予測している。その予測結果を見ておきたい。
IMFは、「中国は不動産萎縮、人口減少、生産性向上の鈍化など依然として深刻な経済的挑戦に直面している」とした上で、「政府の改革措置がなければ、今後5年以内に成長率が4%以下に下がるだろう」と見通した。IMFは、中国の成長率が今年の5.2%から毎年低くなり、2027年からは4%を割る状態が継続すると予測した。減速理由である「不動産萎縮、人口減少、生産性向上の鈍化」は、後で取り上げたい。
この記事は約
NaN 分で読めます(
NaN 文字 / 画像
NaN
枚)