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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 163
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、中国の少子化問題とその対策についてご紹介します。
いつものようなビジネスやテクノロジーの話からは外れますが、少子化問題はビジネス関係者にとっても大きな話題のひとつです。なぜなら、少子化が進行をすると、その上の世代である労働人口が減少をするからです。労働人口は消費人口と同じであり、一言で言えばお客さんの数が減ってしまうという事態なのですから、大きなインパクトがあります。
最近、日本では中国の人口が減少に転じたことが報道され、中国経済の先行きが心配されるようになりましたが、労働人口は2014年をピークに減少を始めており、この時の方が中国の企業家は強い危機感を感じました。
アリババの絶頂期とも言える2016年に、創業者のジャック・マーは、いきなり「ECはすでに死んでいる」と言い出しました。そして、「オンライン小売とオフライン小売は深く融合して新小売となる。すべての小売業は新小売になる」と宣言して、まったく新しい消費者体験を創造していくことを宣言しました。
しかし、少子化は深刻化をするばかりで止まる気配がありません。このままでは、21世紀は、中国経済が衰退する100年になってしまいます。その中でも、シンクタンクなどがさまざまな政策提言を行なっています。
今回は、中国の少子化の現状をご紹介し、そしてシンクタンク「育媧人口」の政策提言の内容をご紹介します。少子化対策の成否が、そのまま中国経済の成長/衰退につながっていきます。中国経済の中長期トレンドを読む時の参考にされてください。
今回は、少子化問題の現状とその対策についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 163
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▼目次▼
止まらない少子化により不安視される中国経済の行末。少子化をくいとめることは可能なのか
小米物語その82
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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止まらない少子化により不安視される中国経済の行末。
少子化をくいとめることは可能なのか
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今回は、中国の少子化にについてご紹介します。
昨年2022年7月に発表された中国の人口は14億2600万人。新中国建国以来、初めて減少に転じました。
中国の人口が減少した理由のひとつは有名な「一人っ子政策」です。1979年から始まり、2014年に終了しました。中国は1960年頃に社会が安定をすると、出生率が上がり、1965年には人口の3.78%という高い出世率を記録しました(全人口の3.78%に相当する新生児がいたという意味です)。このため、人口抑制政策として「一人っ子政策」が実施をされました。
ところが、2015年になると、むしろ人口減少が心配をされるようになり、子ども2人までOKなふたりっ子政策が始まり、2021年にはこの制限も解除され、自由に子どもを産めるようになりました。
しかし、緩和をしても、出生率は下がる一方です。その理由は、日本とまったく同じで、結婚、出産、子育てにかかる費用が高騰をしているからです。特に、競争社会が激しい中国で、経済的な余裕がないのに子どもをつくることに対する抵抗感が大きくなってきています。中学卒業で社会に出しても、とても高収入の仕事に就くことは難しく、つらい人生を歩むことになるからです。
そこで、まず、中国で、子どもを1人成年させるのにいくらぐらいかかるのかということを計算してみたいと思います。
なぜ、このような計算をするのかというと、子どもを育てるコストが中国では大きな負担になってきていると感じている人が増えているからです。日本でもそのような傾向は出ていますが、もはや子どもは贅沢品のひとつで、かなりの経済的余裕がないと産めなくなってきているのです。
少子化が進むと何が問題なのでしょうか?よく、日本では人口減少につながると言われますが、中国ではより問題を絞り込んで、労働人口の減少につながることが問題視されています。労働人口はそのまま消費人口ですから、労働人口が10%減れば、経済規模も自動的に10%縮小することになります。ToCビジネスは直接影響を受けますし、ToC企業の業績が落ちればToB企業も影響を受けます。
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