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高野孟のTHE JOURNAL Vol.587 2023.2.13
※毎週月曜日発行
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《目次》
【1】《INSIDER No.1193》
バイデン年頭演説は何を語らなかったか?/ねじれ議会
に経済・社会再建への協力を切々と訴えたが……
【2】《CONFAB No.553》
閑中忙話(2月5日~11日)
【3】《FLASH No.501》
「異論を許さない」という共産党の気風が組織の発展を
妨げている/日刊ゲンダイ2月9日付「永田町の裏を読
む」から転載
■■INSIDER No.1193 23/02/13 ■■■■■■■■■
バイデン年頭演説は何を語らなかったか?/捻れ議会に
経済・社会再建への協力を切々と訴えたが……
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
政治家の演説には、何を語ったかよりも何を語らなか
ったかに注目した方がいい場合が、往々にしてある。
バイデン米大統領が2月7日行った年頭恒例の一般教
書演説がその典型で、日経新聞による全文翻訳を元に大
雑把に計測すると、外交について述べたのは冒頭と末尾
の修辞的部分を除く全体の何と、7.5%。後は専ら国内
問題で、半導体産業の蘇生やインフラ修復の公共投資に
よる雇用創出、富裕層・大企業の優遇削減による税の不
公平の是正、メディケアの拡大と福祉・介護の充実など
を通じての「中間層の空洞化」の逆転、すなわち米経済
の再建の話ばかり。今は手元に比較材料を持たないが、
恐らくこれほどまでに徹底的に「内向き」な一般教書演
説は珍しいのではあるまいか。
その意味で、外交が余りにも語られることが少なかっ
たことが第1の特徴。第2に、その外交関連部分の半分
はウクライナ、半分は中国で、それ以外のことはほとん
ど何も触れられていないという驚くべき視野の狭さ第3
に、その中国関連部分で、昨秋まであれほど大騒ぎして
いた「台湾有事切迫」論に全く触れていないこと。
まあ、結局のところ、米国は国内の経済と社会の建て
直しで精一杯であるのに加えて、議会が捻れてしまって
いる中では何が実現できるかがますます定かでなくなっ
て追い詰められている。従って、もはや世界のことなど
ほとんど構っていられない(せいぜい7.5%程度でそれ以
上は無理だよ)というのがバイデンの本音で、そういう
彼の心境が図らずも生々しく表れてしまったのがこの演
説だったということである。
●悲願としての銃規制と警察改革
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