「小松成美の伝え方の教科書 ノンフィクション作家に学ぶコミュニケーション術」
vol.43「繊細かつ大胆な挑戦者、AKB48はどう生まれたのか?〜秋元康さんの人生術〜」
【今週の目次】
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1. 成美のつぶやき
└「deleteC」とは?
└ 中島ナオさんとの出会い
└アイデアで課題を解決する
2. 繊細かつ大胆な挑戦者、AKB48はどう生まれたのか?〜秋元康さんの人生術〜
└日本のエンタメを牽引する秋元康さん
└これまでのアイドルの常識を覆して“社会現象” まで巻き起こしたAKB48
└AKB48は高校野球!?AKB48の誕生秘話
└勝利を掴むために秋元さんが伝えたこと
└「何か始めなければ、何も起こらない」
└秋元康さんのモットーとは?
└ファンの声から生まれた総選挙やじゃんけん大会
└まんべんなく火を当てるために、フライパンを揺らし続ける
└秋元康さんの幼少期
3. 小松成美の心に残る、あのフレーズ
4. お知らせ
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1. 成美のつぶやき
「deleteC」とは?
2023年1月29日、虎ノ門ヒルズにて、「deleteC 2023 -HOPE-」のイベントが行われました。
「deleteC 2023 -HOPE-」というのは、認定NPO法人「deleteC」(デリート・シー)によって年に一度開催され、2022年に集まった寄付金を医師・研究者に贈るイベントです。
そして、当日のイベント会場では数百人が見守る中、500万円の寄付金を受け取る2人の受賞者の発表がおこなわれました。
2023年1月29日(日)「deleteC 2023 -HOPE-」にて寄付先を発表 総額1,000万円をがん治療研究に寄付(時事ドットコム)より
今回、初めて私もこのイベントに参加してきました。
deleteCの代表理事は、マルチな才能で活躍する小国士朗さんです。
私と小国さんは澤田智洋さんの紹介で知り合いました。澤田さんが主催する「ご当地ゆるスポーツアワード2019」で共に審査委員を務めたのです。
小国さんは元NHKのディレクターで、イベントクリエイター、映像作家、プランナーとしていくつもの肩書きと才能を持ち、人に何かを伝えるということに対して天才的なアイディアを持っていて、以前から注目していた方でした。
2017年に話題になった「注文をまちがえる料理店」というレストランをご存知でしょうか。それは、注文をとるスタッフが全員「認知症」のレストランです。オーダーや配膳に時々間違いが起きることもありますが、お店の看板で最初から「注文を間違える」ということを掲げているので、間違いがあっても、怒る人は誰ひとりとしていませんでした。むしろ店内は優しさと笑いに溢れ、働く喜びがありました。
そのドキュメンタリーを見て、本を読んでいた私は、「注文をまちがえる料理店」を実際に作ってオープンしてしまう小国さんのエネルギーとアイディアに、感動していました。
なので、そのお国さんが始めたdeleteCにも、興味津々だったのです。
中島ナオさんとの出会い
deleteCプロジェクトがなぜ生まれたかというと、そのきっかけは小国さんが中島ナオさんという1人の女性と出会ったからでした。
中島さんは、2014年の31歳に「乳がんでステージ4」であると診断され、治療に臨みます。中島さんは、「がんをデザインする」をテーマに、治療の副作用に悩む人もファッションを楽しめるよう、帽子や洋服などのデザインを手掛けます。
そして、「がんを治せる病気にしたい」という願いから、治療研究を募金活動で支援するNPO法人「deleteC」を設立、初代の代表理事を務めるのです。
中島さんは「がん」と診断された後も、辛い状況の最中、工夫しながら新しい挑戦をし続け、アイデアを出し続け、さまざまな場所へ足を運び、想いを伝える活動をしていました。
そんなある日、中島さんは小国さんに、
「どうしても話したいことがある」
と、渋谷のカフェに呼び出し、胸の“ど真ん中”にある願いを打ち明けるのです。
「私は、がんを治せる病気にしたいと思っています」
「僕なんかにできることは何もない。中途半端に手を出せる話ではない」と思っていた小国さんですが、中島さんのまっすぐな思いに突き動かされ、彼女と一緒に活動する覚悟を決めました。
「ステージ4という病状でもさまざまな挑戦を続けていく彼女が『がんを治せる病気にしたい』と口にしたその時、『あぁ本気なんだな、僕もいよいよやらなくちゃ』と腹をくくったんです」
小国さんは、中島さんの想いを聞いたその日のうちにdeleteCの仕組みをひらめきます。
deleteCとはつまり、Cを消すこと。CはCancer(がん)のことです。
世の中のCをデザインで消したり、コンセプトカラーを示すことで、「みんなの力で、がんを治せる病気にしたい」と言う彼女の想いを広く伝えていくことにしました。
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