一挙に訪れた崩壊への序曲
人口減が決定的な引き金へ
孔子の民、信無くば立たず
大衆が支持する平和統一論
習近平・中国国家主席の3期目が始まったばかりである。過去10年と異なって、習氏が政治判断を誤れば中国という巨大国家の歯車に齟齬を来たすことは確実だ。最大の問題は、過去10年の治政において、中国の社会と経済に乗り越えられない矛楯の種をまき散らしていることである。習氏は、それに気づいていないのだ。
習氏がこれまで指摘してきた「3つの罠」は、中国の運命は大きく傾かせる危険性を孕んでいる。米国との覇権争いを公言したことは、その中でも最も大きな災いの種になってきた。覇権争いは、軍事的勝敗を決することである。21世紀の現在、軍事的暴力によって雌雄を争うとは、国民の存在を無視する最低事態である。習氏は、これを忌避せず米国や民主主義同盟国と軍事的に対峙する構えだ。この副作用が、どれだけ大きいかを計算に入れていないのだ。
一挙に訪れた崩壊への序曲
先ず、習氏の上げてきた「3つの罠」について見ておきたい。
1)トゥキディデスの罠=覇権国と新興国の衝突
2)タキトゥスの罠=政府への国民信頼の喪失
3)中所得国の罠=労働生産性停滞による1人当たり名目GDPの伸び率鈍化
習氏は、中国にはこうした根本的な問題が存在することに言及してきた。それが、深い認識となって習氏の政治行動を律していたかと言えば、はなはだ疑問である。つまり、単なるアドバルーンに過ぎなかった。習氏は、これら「3つの罠」をより現実化させる政策を行なってきた。「3つの罠」を回避する行動は、取らなかったのだ。
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