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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
vol. 164
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みなさん、こんにちは!ITジャーナリストの牧野武文です。
今回は、私域コミュニティーでの消費者の育て方についてご紹介します。
中国の小売業が、公域流量(パブリックトラフィック=検索やプラットフォームから分配されるトラフィック)から私域流量(プライベートトラフィック=自社で獲得した流量)へ関心が移っていることは、このメルマガでも過去何度も扱っています。
その理由は、検索や大規模プラットフォームの成長が頭打ちになり、新規顧客獲得コストが上昇しているということです。このため、商売をするためにその分配を受ける小売業も負担分が増えてきたため、百度検索や淘宝網などのプラットフォームに頼るのではなく、自社で自力で流量を獲得する=D2Cの方向に動き始めています。
面白いのは、米国でも異なる理由で、似たような動きが起きていることです。アップルがデジタル広告で行われている過度のプライバシー侵害から、アップル製品のユーザーを守るために導入した数々の仕組みが、従来のデジタル広告に大きな打撃を与え、グーグルやメタの影響力が低下をしています。
小売企業は、デジタル広告に頼るのではなく、自社で消費者を集めて、その消費者グループにビジネスをするという考え方に移り始めています。
理由は違うのに、同じような流れが生まれているというのは偶然にしても面白い現象です。いずれ日本でも同じ流れが始まると見ておいたほうがいいでしょう。
そこで、今回は中国企業が集めた私域流量=消費者群をどのようにして維持をして活発化させているかをご紹介します。日本と中国では文化的な違いもあるために、そのまま応用するわけにはいきませんが、施策を考える時のヒントにはなると思います。
今回は、消費者コミュニティーの育て方についてご紹介します。
知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード vol. 164
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▼目次▼
お客さんは集めるのではなく育てる。米中で起きている私域流量とそのコミュニティーの育て方
小米物語その83
今週の「中華IT最新事情」
Q&Aコーナー
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お客さんは集めるのではなく育てる。
米中で起きている私域流量とそのコミュニティーの育て方
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今回は、私域コミュティーの育て方についてご紹介します。
今、米国と中国で「私域流量」の概念が、偶然にも異なる理由から注目をされています。私域流量については、「vol. 127:WeChatマーケティング。私域流量の獲得と拡散が効率的に行えるWeChatの仕組み」でご紹介しましたが、簡単に言えば、企業やブランドが、自社の顧客コミュニティーを自分で構築をし、そこに対して商品や販売を販売していくことを指しています。もっとわかりやすく言えば会
員制販売サービスです。会員になって初めて商品を買うことができ、購入すればするほど特典が与えられ、お得に買えるようになるというものです。一気に販売をして一時的な売り上げを上げるよりも、長期にわたって購入してもらい、LTV(LifeTimeValue=生涯価値)を最大化することをねらっています。日本でも化粧品や健康食品でこのような小売手法を採用している例が増えています。
米国ではアップルの施策が、デジタル広告業界に大きな影響を与えています。アップルは2017年からITP(Intelligent Tracking Prevention=インテリジェントトラッキング防止機能)をiOS(iPhone)のSafari(ブラウザー)に導入をしました。これはクッキー規制とも呼ばれます。
クッキーとのいうのはSafariやEdge、Chromeなどのブラウザーに備わっている小さな保存用ファイルのことです。アマゾンのようなサイトにログインをして、しばらく経ってから再びアクセスをしてみると、ログインした状態で表示されます。いちいちアカウントやパスワードを入力しなくていいので非常に便利です。これはログイン情報がクッキーに保存をされているからできることです。
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