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モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年2月19日(日)号

ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 相次ぐ凶悪犯罪 しかし日本の治安は本当に悪化しているか? 世界と比べて少ない日本の警察官の人数 結局は警察機構の「やるやる」詐欺か? ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------  フィリピンから特殊詐欺の指示を出していたとされ4人の日本人から強制送還され、報道が注目を集めている。  これまで特殊詐欺といえば、「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」に代表されるような、言葉巧みに高齢者を騙し、金を奪い取る手口が代表的。しかしここに来て、特殊詐欺グループの手口が極めて凶暴的になった。  その背景について、神奈川新聞の記者であり「ルポ 特殊詐欺」の著者でもある田嶋基氏は、特殊詐欺グループに取り込まれた若い世代の「受け子」や「出し子」たちが、グループのボスや指令役などに多額のノルマを課されて追い詰められた結果だと分析する。  特殊詐欺が一向に減らない理由について、田崎氏は特殊詐欺の一連の流れが、嘘の電話をかける「かけ子」や、被害者から直接現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」のように役割が細分化され、その間の連絡にSNSが使われるようになったからであると指摘。  その結果、たとえ受け子が捕まったとしても彼らの上に君臨する指令屋やグループのボスが捕まることは、滅多にないようになったという。  田崎氏は、特殊詐欺を撲滅するためには“厳罰化“が必須であるとする。これまで特殊詐欺は既存の法律の枠組みの中で処理され、詐欺罪や電子計算機使用詐欺罪、窃盗罪などの罪状により“援用“されてきた。  しかし、これでも最長でも10年以下の懲役止まりである。 目次 ・日本の治安は悪化しているか ・長期的な体感治安は改善の方向  ・世界と比べて少ない日本の警察官の人数 「治安悪化説」は警察権力の増大を狙うためか? ・日本の治安は悪化しているか  日本の治安状況はどうなっているのだろうか。  警視庁は2022年2月3日、犯罪情勢統計(暫定値)と治安に関するアンケートを公表。それによると、2021年の刑法犯罪の認知件数はピーク時の2002年(約285万件)から減少を続け、昨年は2002年の5分の1以下となった。  警察庁は、防犯カメラの普及や市民の防犯意識の向上、あるいはコロナ禍による外出自粛が影響しているとみている。  犯罪の種類別では、殺人が875件(前年比5.8%減)で、強盗は1138件(前年比18.5%減)。ひったくりなどの街頭犯罪が17万6308件(前年比11.5%)、空き巣などの侵入犯罪が4万7325件(前年比14.8%減)と、いずれも減少幅は1割に至る。  つまりは、日本の治安は一切、悪化していない。  しかしながら、警察庁が昨年11月にインターネットを通じて5000人を対象に行ったアンケート調査によると、「ここ10年で治安は良くなったか」と聞いたところ、「どちらかと言えば」を合わせて64.1%が、「悪くなった」と答えている。  前年の調査では、「(治安が)良くなっていない」「あまり良くなっていない」が合計56.2%だったので、治安の悪化を感じている人は確実に増えてはいる。  2021年には、東京都内で小田急と京王線の電車内で殺傷事件や放火事件が続いた。あるいは同年12月には大阪の北新地のクリニックで放火殺人事件も起き、警察庁の幹部は、 「治安情勢は依然として厳しく、より的確で効率的な治安対策を推進していきたい」(1) とする。 ・ 長期的な体感治安は改善の方向  一方、長期的な体感治安はむしろ良くなっているという指摘も。「体感治安」とは、人々が主観的に感じている治安のこと。犯罪社会学・社会統計学を専門とする龍谷大学の津島昌寛教授は、 「体感治安について経年的に調査した結果では、むしろ『治安が良い』と感じる人が年々増えています」(2)

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  • 日々流れるニュースを、様々な視点から分かりやすく解説するニュースサイト「ジャーナリスト 伊東 森の新しい社会をデザインする The Middle News Journal」のニュースレター有料版です。 いまだ私たちに伝えられてこないマスコミの情報は、残念ながら存在します。 「そもそも?」「Why?」を大事に、マスコミの情報を再編集し、様々な視点や確度から執筆していきます。 その「水先案内人」として、私の仕事が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
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