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【痛くない死に方 2023年第7号】もしも日本で「安楽死法」が可決したとき…「死に至る注射」を打てますか?

長尾和宏の「痛くない死に方」
  • 2023/02/18
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2023年 第7号 【長尾和宏の「痛くない死に方」】 長尾和宏です。春はすぐそこまで来ているのに、なかなか暖かくならないですね。 5類がそこまで来ているに、なかなか5類にならないもどかしさとともに、ね。 さて先日は、バレンタインデーにたくさんのメッセージやチョコレートを送って いただいて恐縮しきりです。往診のあいだに車の中でチョコチョコとありがたく いただいております。こんなオジサンに、ほんとうにアリガトネ!!! さて今日は少し、チョコレートの話を医学的に。 ご存じの人も多いでしょうがチョコレートは昔々、嗜好品ではなく「薬」でした。 紀元前1000~2000年前頃マヤ・アステカ文明の時代から存在し、最初は、 カカオ豆をそのまま食していましたが、次第に豆をすり潰し液体にして、唐辛子など のスパイスを混ぜて飲んでいたようです。当時、チョコレートは「興奮剤」として、 兵隊に飲ませていたという記録も。興奮するのはテオブロミンという成分の仕業です。 この苦みを伴う成分は、不思議なことに、全食品のなかでカカオだけで発見されて いる成分で、アルカロイドの一種です。つまりカフェインやコカインの仲間です。 テオブロミンという名前の由来は、神(teo)の食べ物(broma)。そういえば、テオ ブロマという店名のチョコレートを貰ったことが何度かあります。 チョコレートが砂糖を加えた「お菓子」として流通するようになったのは、大航海時代 以降、南米各国を植民地にしたスペイン人がヨーロッパに流通させてからです。 チョコレートに砂糖を加えたホットチョコレートがヨーロッパ帰属のあいだで大流行 しました。日本におけるチョコレートの最初の記録は、1797年の長崎見聞録で、 やはり、蘭学医が性的興奮剤として用いていたようです。オランダ人が持ってきました。 「熱湯にチョコレートを1センチ削り入れ、そこに卵1個と砂糖を少し加えて茶筅を 使って蟹の泡のように泡立て、よく混ぜる」と記されています。 長崎の遊女にオランダ人が渡していたという記録もあるそうです。 チョコレートは、「大人の食べ物」だったのですね…。 テオブロミンがカカオから発見されたのは1878年のことであり、現在でもなお、 血管拡張のお薬や、利尿剤、あるいはED治療サプリとしても使われています。 集中力や記憶力など脳にも影響があることもわかっています。これは、テオブロミン が脳内の「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンを助ける働きがあるからです。 じゃあチョコをたくさん食べれば幸せになれるのか? と思われるかもしれませんが、 その前に、脂質と糖質を過剰に摂取することになるわけですから、要注意です。 しかし、テオブロミンの影響を受けやすいのからでしょうか、チョコレート依存症に なる人がときどきいます。確かに、気が付いたら板チョコ1枚ぺろりと食べてしまって いることもあり、しまった! と思った経験が僕自身、何度かあります。 チョコレート依存症に関しては、かつて『粗食のすすめ』がベストセラーとなり、粗食 ブームを巻き起こした管理栄養士の幕内秀夫さんの『夜中にチョコレートを食べる女性 たち』という本がとても面白かったです。ダイエットでストレスを抱えた女性たちが、 夜中に食べるチョコレートがやめられなくなるという話。幕内氏は、夜中にチョコを食 べるくらいなら、炭水化物ダイエットなどやめて、1日3食ごはんを食べなさい、と 力説しています。ごはんを食べれば、過度にチョコレートを体が求めなくなると。 要は、バランスです。毎日チョコレートを食べるのは確かによくないが、ときどき、

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