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第56回 ミュンヘンでブリンケン・王毅会談が実現しても、容易には変わらないアメリカの対中攻勢と中国の対米不信

富坂聰の「目からうろこの中国解説」
 予測された外交日程からすれば、今週は王毅(前外相、中国共産党中央政治局委員)のヨーロッパ訪問が最大の注目点となるはずだった。  なかでもターゲットはイタリア。同国は昨年9月、上下院の総選挙の結果、右翼政党「イタリアの同胞(FDI)」が第1党となり、ジョルジャ・メローニ党首が右派連合による政権を打ち立てた。メローニ新首相は、中国の進める「一帯一路」イニシアチブに関する覚書にイタリアが署名したことを「大きな誤りだった」と発言していて、見直しも指示したとされている。中国にしてみれば、早めの消火を目指したのだろう。  また北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長が、新たな国防計画に「中国を念頭に置いている」(2月16日)と挑発したことも嫌な流れだった。  二つの問題は目下、中国がヨーロッパと向き合う上での懸念を見事に象徴している。  一つ目はイタリアが先陣を切ったと考えられる右派政権の誕生、或いは右派躍進によるヨーロッパの外交環境の変化のドミノだ。右派勢力急進は、シリア難民の大量流入によって加速された。生活苦も一つの要因だ。

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